『Sign』—君との約束はいつまでも色褪せないから
——母から聞いた話だった。
小学校の卒業式を終えて間もない頃。
私は自転車で坂道を下っている最中、横から飛び出してきた猫を避けようとして、単独事故を起こしたらしい。
脳挫傷——。命に別状はなかったものの、私は小学校六年生の頃の記憶を失ってしまった。
毎日の出来事。
卒業式。
家族との旅行。
友達との思い出。
どんなに思い出そうとしても、何も出てこない。
まるでその一年間だけ、鍵のかかった引き出しに仕舞われてしまったかのようだった。
事故の後遺症も残ったままだ。だからこそ、高校生になった今も激しい運動は制限されている。
けれど、唯一覚えていることがあった。
それは——あの日、ある女の子と交わした約束だ。