『Sign』—君との約束はいつまでも色褪せないから

俺は僕のままだ

【葵side】

——パタンッ。
 

翠が玄関の扉を閉めたのと同時に、母は出かける準備を始めた。
 
「葵〜、部屋にいるの?」
 

部屋を覗きにきた母に、俺は何も答えなかった。
 
「じゃあ、お母さん行ってくるからね。寧々のことよろしくー!」
 
「ねぇ」
 
 

俺は視線を落としたまま、部屋を出ていこうとする母に向かって口を開いた。
 
 
「はい?」
 

「なんでさっき、俺のこと『葵ちゃん』って呼んだの?」
 
 

母はハッとすると、「しまった」というような表情を浮かべた。
 
「え……。あ……ご、ごめんなさい。つい咄嗟に……」
 
「もう、そういう風に呼ばない約束をしたよね……?」
 
「そうだったわね……」
 
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