『Sign』—君との約束はいつまでも色褪せないから
「杏!」
「朝伝え忘れたことがあってさ。今から部活の集まりがあるんだ。だから今日は一緒に帰れないの。ごめんね」
立花 杏は小学校からの友人で、私と同じクラスメイトである。
「部活だから仕方ないよ! でも珍しいね、しっかりものの杏が伝え忘れをするなんて……」
私は目を細めて、からかうように笑う。
「おい。人間だからたまには忘れちゃうの!」
杏からツッコミをもらった瞬間、彼女が肩にかけているバドミントンのラケットバッグが目に入った。
「ごめん、ごめん。確か、バドミントン部に入るんだったっけ?」
「そうそう! その予定でいるんだ。翠は部活どうするの……?」
杏は少し心配そうな表情を浮かべた。
「あー、それがね……今年も部活は控えるようにって病院の先生に言われたの」
私は苦笑いを浮かべながら頭をかいた。
「そうなんだ……。もし、病院から大丈夫って言われたら、一緒にバドミントンやろう!」
「ありがとう! でも体育の授業や自転車で移動するくらいなら大丈夫だからさ。うちの高校って部活をしっかりやるイメージじゃん? 遠征とかあると、ちょっと不安なんだよね……」
「なるほどね……。あ、そろそろ部活が始まっちゃうから行ってくるね」
「うん! いってらっしゃーい! 頑張ってね!」
私は手を振って杏を見送ると、自分の荷物をまとめ、教室を出ていった。