義姉に全てを奪われ虐げられた令嬢は、青い小鳥の王子に溺愛される
 さっきまでの光景を思い出し、シーラは顔を両手で覆って呻く。それからしばらくして、シーラは手を顔から離して小さく息を吐いた。

(フィーヌ様に入れ知恵をしたあの方って、誰なのかしら。ルリウス様はなんとなくわかってらっしゃるような雰囲気だったけど……)

 誰に騙されたのかと聞かれた時にフィーヌが黙り込んだ時、ルリウスはなんとなくわかっているような雰囲気だった。

(ルリウス様の知っている方?王族と関係のある方なのかしら。でも、だとしたらどうしてこんなことを……)

 人間である自分がルリウスの番になることをよく思わない相手が、フィーヌの他にもいるということだ。

 それでも、わざわざ国内で有力な貴族令嬢であるフィーヌを巻き込むなんて危ういことをするのはリスクが高いのではないだろうか。

(一体、何が目的なんだろう。私をルリウス様から遠ざけるためだけならもっと他にもやり方があるはず)

 ベッドから体を起こして、ルリウスが出ていったドアを眺める。

(ルリウス様は、自分のせいで私がこんな目に合ってしまったと悲しんでいたけれど、私が番に選ばれたせいでこんなことが起こってしまっている)

 ルリウスの相手が人間の自分でなければ、こんなことは起こらなかったかもしれない。言いようのない悲しみと申し訳なさで胸が重苦しくなっていく。

(……くよくよと考えていても何も変わらないわ。私はここで生きていくって決めたんだもの。何が起こっても動じない強さを持たなきゃ)

 ブンブンと首を大きく振って、シーラは目を瞑り大きく深呼吸する。それから目を開けたシーラの瞳は、ランプの明かりに照らされてキラキラと強く輝いていた。

*

「あああシーラちゃん!無事で本当によかったわ!!!」

 翌朝。ルリウスの母親である王妃がシーラに抱きつき、半泣きでグリグリと顔を擦り付けていた。

「こら、落ち着きなさい。彼女が困っているだろう」

 ルリウスの父親である王が困った顔で王妃をたしなめるが、王妃はキッ!と王へ厳しい視線を向ける。

「でも!あんなことがあったんですよ!もしかしたらシーラちゃんは鳥の姿のままどこかに連れ攫われていたかもしれない!考えただけで心臓が止まりそうよ!本当に無事でよかった!!」

 そう言ってまたシーラに頬をグリグリと押しつけている。

(これも鳥的な愛情表現の動作なのかしら……)

 シーラは戸惑いつつも、微笑みながら王妃の行動を受け入れている。

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