義姉に全てを奪われ虐げられた令嬢は、青い小鳥の王子に溺愛される
 争っていたのははるか昔の話だが完全に和睦しているわけではなく、ある意味停戦状態が数百年もの間続いているらしい。そんなゲルダン国が、和睦のために王女を差し出そうとしている。

(まるで生贄ね)

 シーラは胸元で片手を握り締め、眉を顰めた。人間の国でも国同士が争い、和睦のために王女や王子が相手の国に差し出されることがある。立場上仕方がないとはいえ、本人たちの気持ちはないがしろにされ、まるで道具のように扱われているのだ。

「まだ憶測の域を出ない話です。ですが噂話として少しずつ広まってはいるのでしょうね。それをあろうことか、公爵令嬢が王太子妃候補に伝えるだなんて……」

 心底呆れたようにマーサは両腕を組み、やれやれといった顔で首を振る。

「聞かなかったことにしろとは言いませんが、あまり真剣に考えすぎないように。もし気になるようなら、ルリウス様に聞いてみるのがいいでしょう。ルリウス様はシーラ様にならどんなことでもきちんとお答えするでしょうからね」
「……でも、まだ憶測の域を出ないのですよね?そんなことでわざわざルリウス様に聞くのは、お忙しいルリウス様の邪魔をしてしまうと思うので大丈夫です」

 シーラが眉を下げて小さく微笑みながらそう言うと、マーサは真顔のままシーラを見る。

「ですが、気にはなるのでしょう。少しでも気になることがあるならその芽は摘むべきです。心の奥底に疑念を持ったままでは、集中すべきことにも集中できなくなりますよ。あなたは王太子妃になるためにまだまだやらなければいけないことがたくさんあるのですから」
「それは、そうですが……」

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