義姉に全てを奪われ虐げられた令嬢は、青い小鳥の王子に溺愛される

8決断

 ぽたり、ぽたり、とシーラの両目から涙が零れ落ちていく。

(泣いてはだめ、こんな時に泣くなんて、きっとまたお姉さまがお怒りになってしまう)

 泣きたくないのに、涙が零れ落ちてしまう。シーラが必死に涙をぬぐっていると、ルリウスはシーラの顔を覗き込んで、そっと指で優しくぬぐった。

「泣かないで、シーラ。もう、悲しい思いはしなくていいんだ。俺と一緒に行こう」
「なっ、待ってください!他国の王子が、こちらの家族の了承も無しにシーラを連れていくなんて、まるで人さらいです!国同士の問題にもなりかねませんよ!シーラを連れていきたいなら、家族である私、そしてお父様とお母様の承諾を得てからにしてください!」

 キリルが怒ったように顔を真っ赤にして抗議する。だが、そんなキリルをルリウスは冷ややかな瞳で見る。

「いまさら家族ぶるつもりか?さんざんシーラを邪険にして粗末に扱い、いじめてきたくせに?ふざけるなよ。そうか、わかった。国同士の問題になりかねないというのなら、俺からこの国の王へ一言断りをいれておこう」

 ゆっくりと、威厳のある声でルーリウスは言う。

「そうだな、その際には、君が俺を捕まえた暁には商人へ売り飛ばすか、飼い殺しにするか、はく製にしようとしていたということも伝えておこう。俺がこの耳で聞いたことだから確実だ。それこそ、国同士の問題になるだろうな。それでもよければそうするが?」

 今までの明るく和やかな声とは違い、低く内臓から殺されてしまうような恐ろしい声に、キリルは思わずひっ!と悲鳴を上げ、首を横に振った。

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