義姉に全てを奪われ虐げられた令嬢は、青い小鳥の王子に溺愛される
 威勢よくそう言って本へ手を伸ばすシーラを見ながら、ルリウスは嬉しそうに微笑んだ。それから、急に真面目な顔になり、自席を立ってシーラの目の前に来て跪き、目線を合わせた。

「ルリウス様?」
「シーラ、クロウリアから学べることは限られてるんだ。作法や王太子妃としての振る舞いなどは別の講師に教わることになる」

 シーラは伯爵令嬢ではあるが、そのほとんどを別邸で閉じ込められるようにして生きてきたため、令嬢としての作法は最低限のことしか学んでいない。

 しかも、社交の場には一度も出たことがないのだ。知識も経験もほぼ無に等しい。

(何も知らない私が、今から学んできちんと身につけられるのかしら……)

 シーラの胸の中に、大きな不安がよぎる。

「王族のマナー講師は厳しいからね。もしかすると、辛い思いもするかもしれない。それに」

 ルリウスは顔を顰めシーラを見つめる。

「王城の中には、人間をよく思わない者も少なからずいる。もしかすると、そういう者たちから何かを言われたりされたりして、シーラが嫌な思いをするかもしれない。でも、そうならないように目を光らせるつもりだし、何があっても絶対に俺が君を守る。だから、何かあったらすぐに言ってほしい」

< 74 / 198 >

この作品をシェア

pagetop