一夜の運命。
背後から「チッ…」と舌打ちして去っていく音。
リュウジが去った音。


頭上に目線を向けると

いまだにリュウジが去った方向を睨みつけるヒロ。


「…ヒロ」
「…ん?」


張り詰めた空気が緩む。



「おまたせ」
「うん、お疲れ」


腕の力が緩んで距離ができると、ヒロは私の手を取って後部座席へ誘導した。
運転席にはタツさん。


「タツ出せ」
「はい」


ゆっくり動き出した車。
手はまだ繋がれたまま。じんわり熱を感じる。


「…あいつが、元彼か」
「うん…」
「なんで一緒にいた?」
「いや…その、ね、新しくやるプロジェクトで一緒になってね…今日顔合わせも兼ねてうちの会社に来たんだよね…ははは」


私の渇いた笑い声が車内に響く。

「なんで追ってきた?」
「会社の外で話したいって言われたけど…嫌で逃げたから」
「ふっ…腰抜けが」
「…」



笑顔を見せるヒロ。
でも、目が笑ってないんですけど…。



「ミアに手上げたくせに、まだ生きてるだけでもラッキーなのに、調子乗り上がって…」
「…え?なんで…」

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