一夜の運命。
「なんの曲を弾いてたの?」
「…月の光。お袋のお気に入りだった」
「…お母さんもピアノ弾いてたの?」
「ああ、ピアノはお袋に教わった」
「そうなんだ…」


試しに目の前にある鍵盤を一つたたく。

さっきの儚い綺麗なメロディとは違って、間抜けぽい音がした。


すーっと手を重ねられ「これだよ」と先程聞いた『月の光』のワンフレーズを教えてれる。



「…すごい。私学生の頃触ったきり。しかも適当に」
「ふふ、そうなんだ…」


苦笑いを浮かべる私にヒロが優しく微笑む。


今だ、、


「…ごめんね」
「…ごめん」


「え?」「え?」




「っふふ、はははっ…」
「ふっ、はなっ…」



同時に声が出て、びっくりして
こんなにハモる事に笑いがこみ上げる。




「そんな事ある?」
「見事にハモったなー」

一頻り笑い終えて、ヒロを見ると悲しそうな顔をしていた。
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