ファーストキスのプロデュース 〜昔フラれた幼なじみを最高の彼氏に育てる方法〜
スタンド最前列、夏凜は手すりを両手で強く握りしめ、身を乗り出していた。

叫び声が歓声にかき消されて届かなくても、全身の血が逆流するほど叫んでいた。

――負けないで、海斗!

挫折に打ちひしがれ、自ら日陰に沈んでいたあの少年が、今、再び太陽の下で誰よりも強く輝いている。

その眩しさに、視界が涙で滲んでたまらなかった。

ラスト十メートル。二人は並走したまま、水面を真っ二つに割り進む。

東堂もまたモデルとしての涼しげな表情を捨て、歯を食いしばって執念のストロークを繰り出す。

だが、海斗の腕には、夏凜が救い出し、信じてくれた時間のすべてが宿っていた。

――負けられない!夏凛のためにも絶対に勝つ!

肺が焼けるような痛みをねじ伏せ、海斗は最後の力を込めて右腕を前へ突き出した。



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