ファーストキスのプロデュース 〜昔フラれた幼なじみを最高の彼氏に育てる方法〜
リレーで負けたはずの東堂が、なぜ夏凜を名指しで呼び出したのか。


妙な胸騒ぎが、走るたびに心臓を締め付けていた。


三階の廊下は、部活動の掛け声も届かないほど静まり返っていた。


ヘリンボーン柄の床に夕陽が長く伸び、突き当たりにある重厚なマホガニーの扉だけが、冷ややかに佇んでいる。



海斗は息を殺し、扉の前へと歩み寄った。


ノックをしようと右手を伸ばした、その時だった。


アンティーク調の扉の木枠に嵌め込まれた、細長い飾りガラスの小窓。そこから室内の柔らかな灯りと茜色の西日が、廊下の暗がりへと筋を引いて漏れ出していた。


何気なく視線を落とした海斗の瞳に、信じられない光景が飛び込んできた。


「えっ……!?」


海斗の喉が、音もなく詰まった。


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