あえかなる君へ 心からの愛を
十二月の初旬、新しいグッズの試作品が完成し、あーみゃを招いて紹介動画を撮影することになった。

「こんにちはー、よろしくお願いします」

前回と同じ会議室に小森の案内でやって来たあーみゃは、挨拶するなり手にしたトートバッグを探り、何やら赤い服を得意気に取り出した。

「見て、ハンプティの衣装!」
「ええ!?」

見るとそれは水玉の赤いジャケットに大きな白の開襟シャツ、首元に赤い蝶ネクタイを合わせてある衣装だった。
小ぶりの赤いシルクハットもあり、白のパイピングが施されている。

「これ、赤いジャケットの下に白のシャツを合わせてるように見えるでしょ? でも実際は、ジャケットにシャツの襟を飾りでつけただけなんです。だからジャケットを羽織るだけで……ほら!」

Yシャツにベスト姿だった赤井に赤いジャケットを着せて、あーみゃが振り返る。

「ね? ちゃんと下に大きな開襟シャツを着てるように見えるでしょ?」
「ほんとだ」
「蝶ネクタイもパチンって留めるだけだから簡単。帽子をちょこんと載せて、はい完成!下はどうでもいいの。だって動画は上半身しか映らないから。あはは!」

楽しそうなあーみゃに、皆もつられて笑う。
あーみゃは赤井の手を引いて椅子に並んで座ると、早速グッズをテーブルに並べた。

「では紹介始めますよー。撮影お願いします!」

柊がカメラを回して手でキューの合図を送った。

「皆さーん、こんにちは。あーみゃです。見て見て、ハンプティの衣装作ったの。どう? 可愛いでしょー」

あーみゃが隣に座る赤井の頭をポンポンとなでて満面の笑みを浮かべる。

「今日もハンプティと一緒にグッズを紹介するよ。みんな、第一弾のグッズはもうコンプリートしてくれた? また新しいグッズを作ったから、早速見せちゃうね。まずはー、これ! トートバッグなの。A4サイズもすっぽり入るよ。キュートな感じのピンクと、ちょっと大人っぽい黒の二色あるから、その日の気分で使い分けてね。次はこれ。キーホルダーとチャーム! 前回リリースしたコスメポーチのファスナーにつけたり、新しいこのトートバッグにつけてね。三種類あって、まずはこの流れ星。キラッて光ってきれいだよ。次は立体的はピンクのリボン。で、最後が一番のおすすめ、ハンプティー・ダンプティー!」

隣で赤井が「うえっ!?」と妙な声を出す。

「見て見て、よーく見て、小さいけど凝ったデザインなの」

あーみゃがチャームを手に身を乗り出し、柊がピントを調節した。

「ハンプティ、どう? そっくりでしょ?」
「う、うん、そうだね。びっくりした」
「だよねー。ハンプティにサプライズでプレゼント。はい!」
「あ、ありがとう」

赤井はあーみゃに手渡されたチャームを手のひらに載せ、しばし見つめる。

「これ、僕はどこにつけたらいいかな?」
「そうね、ハンプティはここがいいんじゃない?」

そう言ってあーみゃは、赤井が着ているジャケットの一番上のボタンに飾った。

「ほら!ちょっとユラユラして可愛いね」
「そうだね」

赤井はにこっと笑い、あーみゃと二人で見つめ合う。

思わず乙葉は隣に立つ小森に小さくささやいた。

「ね、なんだかものすごく平和なメルヘンの世界じゃない?」
「ほんと。あーみゃワールドに赤井さんがすっかり溶け込んでますよね」
「うんうん」

そうしている間も、あーみゃと赤井は楽しそうに撮影を進める。

「ねえ、ハンプティはどんなグッズがあったら嬉しい?」
「僕? そうだな、ハンカチとかボールペンかな」
「わあ、それいいね! ハンプティのワンポイントのハンカチと、あとはフローティングボールペンとか?」
「え、風呂?」
「お風呂じゃないわよ。傾けるとオイルの中でふわふわ小さなハンプティが動くボールペン」
「おお、いいね!」

でしょー? と二人で盛り上がる。

「実際に作れたかどうかは、次の動画配信をお楽しみにー。じゃあ、またね。バイバイ!」

最後は二人で両手を振って動画の撮影は終わった。
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