あえかなる君へ 心からの愛を
「おお、あったかい。まったく……季節外れの冷え込みようだよな」

暖房の効いた客室に入り、柊は乙葉を振り返る。

「でもいいのか? 本当に」

二人で同じ部屋に泊まることを提案した乙葉に、念を押すつもりらしい。

「いいわよ。会社で寝袋で雑魚寝するのと変わらないもん。実際はそんなシチュエーションないけど、でも他の人ならともかく、私と森住なんだから」
「まあ、そう言えばそうか」

そう言うと柊はバスルームのドアを開けて乙葉を促す。

「堀井、先にシャワー浴びろ。風邪引くぞ」
「森住が先にどうぞ。私、下のコンビニで着替えとか化粧水とか買ってきたいし、ゆっくり湯船に浸かりたいから」
「それなら俺が代わりに買ってきてやるよ。俺も自分の下着買いたい」

は? と、乙葉は声を上ずらせた。

「代わりに買ってきてやるって、何を?」
「だからお前の下着。サイズは?」

バカ! と、乙葉は慌てて背を向ける。

「先にシャワー浴びててよ? 戻ったらすぐ入りたいから」

早口でそう言い残し、客室を出た。

「まったくもう。いくら気心知れた同期だからって、私のこと微塵も女扱いしないんだから」

エレベーターに乗ると肩にかけたバックからハンドタオルを取り出し、髪をギュッと絞るように拭いて、シュシュでラフなシニヨンにまとめる。
一階に下りてロビーを横切り、エントランスの脇の小さなコンビニに入った。

(お泊まりセットは……と、あった)

化粧水や乳液、クレンジングオイルなどの小さなパッケージをカゴに入れ、キャミソールと下着、ストッキングも選ぶ。その隣に男性用の衣類もあった。

(えーい、仕方ない)

思い切って男性用のLサイズのTシャツと、ボクサータイプのMの下着も手に取り、飲み物のコーナーに移動する。

ウーロン茶や缶コーヒー、朝食用のパンもいくつか選んでレジへ向かった。
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