あえかなる君へ 心からの愛を
いくつか会場の候補を挙げ、一番よさそうなところから順番に当たっていくことにする。
「まずは、ここ。内装も雰囲気いいし、新郎新婦用に控え室もある。プロジェクターも大きいし、ケーキカットやフラワーシャワーの演出も無料。ビュッフェのお料理は、シェフがローストビーフやデザートのクレープを目の前で仕上げてくれるライブキッチンだって」
「ふーん、いいな。人数も八十名までOKだって。一度見学に行きたい。早速問い合わせてみるか」
「そうだね」
スマートフォンをスピーカーにして電話をかけ、下見に行きたいと話すと、予想外の答えが返ってきた。
『実は本日、特別なクリスマスディナーで営業しているのですが、急なキャンセルが入りまして二名様分お料理をご用意できます。試食がてら、いらっしゃいませんか?』
「今夜、ですか?」
『はい、十九時からでいかがでしょう?』
乙葉がそれを聞いて、うんうんうん! と首を激しく縦に振る。
柊は苦笑いしつつ「では、お言葉に甘えて伺います」と伝えた。
「やったー! ディナーだよ。棚からぼた餅ならぬ、サンタさんからクリスマスディナー! あ、違う。森住のバースデーディナーだったね」
「いいよ、クリスマスディナーで」
「心はちゃんとハッピーバースデーでいただくからね」
「はいはい。それより急に時間が空いたな。渋滞を考えて少し早めに向かって、適当に近くをぶらぶらするか?」
「そうだね。何着て行こうかな?」
乙葉はクローゼットを開けて何やら考え込んだあと、「これにしよう」と言ってネイビーのワンピース手に取った。
バスルームに行き、しばらくすると着替えとメイクを済ませて戻ってくる。
「変じゃない?」
「いや、その、うん」
柊はうまく言葉が出てこない。
ベロアのワンピースは乙葉の身体のラインに沿って大人っぽく、髪はハーフアップで毛先はふわりとカールで揺れる。
メイクも派手ではないのに目元がぱっちり、肌は透明感が増して唇は艷やかだった。
「ちょっと待て。俺、かなり浮いてる」
ネルシャツにジーンズという自分の服装を見下ろし、柊は愕然とする。
とてもじゃないが、こんなきれいな装いの乙葉の隣には並べそうになかった。
「堀井、俺のマンションに寄ってもいいか? 着替えたい」
「わざわざいいのに」
「いや、絶対によくない」
「そっか、わかった。じゃあそろそろ出よう」
乙葉は簡単に部屋を片付けると、小さなバッグを手に玄関でハイヒールを履く。
最後にファーのついた黒のロングコートを羽織って柊と一緒に部屋を出た。
「まずは、ここ。内装も雰囲気いいし、新郎新婦用に控え室もある。プロジェクターも大きいし、ケーキカットやフラワーシャワーの演出も無料。ビュッフェのお料理は、シェフがローストビーフやデザートのクレープを目の前で仕上げてくれるライブキッチンだって」
「ふーん、いいな。人数も八十名までOKだって。一度見学に行きたい。早速問い合わせてみるか」
「そうだね」
スマートフォンをスピーカーにして電話をかけ、下見に行きたいと話すと、予想外の答えが返ってきた。
『実は本日、特別なクリスマスディナーで営業しているのですが、急なキャンセルが入りまして二名様分お料理をご用意できます。試食がてら、いらっしゃいませんか?』
「今夜、ですか?」
『はい、十九時からでいかがでしょう?』
乙葉がそれを聞いて、うんうんうん! と首を激しく縦に振る。
柊は苦笑いしつつ「では、お言葉に甘えて伺います」と伝えた。
「やったー! ディナーだよ。棚からぼた餅ならぬ、サンタさんからクリスマスディナー! あ、違う。森住のバースデーディナーだったね」
「いいよ、クリスマスディナーで」
「心はちゃんとハッピーバースデーでいただくからね」
「はいはい。それより急に時間が空いたな。渋滞を考えて少し早めに向かって、適当に近くをぶらぶらするか?」
「そうだね。何着て行こうかな?」
乙葉はクローゼットを開けて何やら考え込んだあと、「これにしよう」と言ってネイビーのワンピース手に取った。
バスルームに行き、しばらくすると着替えとメイクを済ませて戻ってくる。
「変じゃない?」
「いや、その、うん」
柊はうまく言葉が出てこない。
ベロアのワンピースは乙葉の身体のラインに沿って大人っぽく、髪はハーフアップで毛先はふわりとカールで揺れる。
メイクも派手ではないのに目元がぱっちり、肌は透明感が増して唇は艷やかだった。
「ちょっと待て。俺、かなり浮いてる」
ネルシャツにジーンズという自分の服装を見下ろし、柊は愕然とする。
とてもじゃないが、こんなきれいな装いの乙葉の隣には並べそうになかった。
「堀井、俺のマンションに寄ってもいいか? 着替えたい」
「わざわざいいのに」
「いや、絶対によくない」
「そっか、わかった。じゃあそろそろ出よう」
乙葉は簡単に部屋を片付けると、小さなバッグを手に玄関でハイヒールを履く。
最後にファーのついた黒のロングコートを羽織って柊と一緒に部屋を出た。