あえかなる君へ 心からの愛を
「えーっと、レストランは駅直結のショッピングモールの一階だよね。アクセスもいいから助かる」
「そうだな。けどやっぱり今夜は道が混んでる」
「のんびり行こうよ。時間はたっぷりあるし」

そう言うと乙葉はふいに柊の顔を覗き込む。

「ん? 何」
「なんかかっこいいなあと思って。森住、モテるんだからやっぱり彼女作りなよ。このままおじいちゃんになったら、もったいないよ」
「ぶっ、言っとくけど俺二十六だからな。六十二じゃないぞ?」
「あはは! 間違えそう」
「おい」

横目で突っ込んでから、柊は「そう言えば」と思い出す。

「堀井の誕生日っていつだっけ? 確かおとめ座だから乙葉って名前になったって前に聞いた気がする。ってことは、九月とか?」
「ううん、違う。三月二十五日だからおひつじ座」
「もしかして、星占いではなくて実際に夜空に見えるおとめ座のこと?」
「そう、よく知ってるね。生まれた時、明け方の空にスピカが見えたんだって」

へえ、と柊は感心する。

「スピカか。おとめ座の中で最も明るい一等星だな。白い宝石みたいに美しく輝くから『真珠星』って別名がある」
「そうなの? 初めて聞いた。真珠星かあ。ねえ、スピカってどうやって見つけるの?」
「まず北斗七星を見つけて、その先の曲線をそのまま延ばすと、うしかい座のアークトゥルスがオレンジ色に光ってる。その先をさらにたどると、白く輝くスピカが見えるよ。アークトゥルスとスピカはペアで『夫婦星』とも呼ばれている」
「歩くトゥース?」
「違うわ! まあいいけど」
「その星と夫婦なんだ。じゃあ私はうしかい座の人が運命の相手なのかな?」

ははっと柊は目を細めて笑った。

「残念ながら、うしかい座は星占いにはない。おうし座とも別ものだ」
「そうなんだ。森住は何座?」
「やぎ座」
「へえ。やぎとひつじか、ちょっと仲良しっぽいね。牧場仲間」
「牧場仲間? 独特だな」

そんなことを話しながらドライブを楽しんだ。
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