あえかなる君へ 心からの愛を
コラボグッズ第三弾リリースの準備と合わせて、乙葉は紗理奈からの引き継ぎを受ける毎日。
預かる案件はどれも一番の責任者となるものだった。

会議室に集まり、改めて皆に紹介される。

「四月からマーケティング部広報課のリーダーは、堀井さんにお任せします。皆さんで力を合わせて、これまで以上に広報課を盛り上げていってください」

そう言うと紗理奈は乙葉に視線を送って促す。
乙葉は頷いて立ち上がった。

「堀井です。まだまだ未熟で至らないところだらけですが、紗理奈さんの産休明けまでしっかりと広報課を守りたいと思います。どうぞご指導ご鞭撻のほど、よろしくお願いいたします」

周りは年上の人ばかり。
拍手を受けながらも、乙葉は緊張と不安に包まれていた。

紗理奈がもう一度皆を見渡して口を開く。

「私は三月まで在籍しますが、今後課長に通す案件は必ず堀井さんを通してください。相談なども、まずは堀井さんに」

紗理奈の話すひと言ひと言が、乙葉に重くのしかかる。

(紗理奈さんが安心して産休に入れるよう、私がしっかりしなくちゃ)

乙葉は懸命に自分を奮い立たせていた。

紗理奈がいるうちに少しでも多くのことを教わりたい。
そう思っていたのにあっという間に日々は過ぎていった。

あーみゃとのコラボグッズ第三弾リリースも無事に終わり、第四弾に取りかかるミーティングが三月中旬に行われ、それが紗理奈が参加する最後のミーティングとなった。

「紗理奈さん、お世話になりました。元気な赤ちゃんが生まれますように」

そう言ってあーみゃが大きなピンクのバラの花束を手渡す。

「ありがとう、あーみゃちゃん。コラボグッズ、うちでポチポチ買うからね。またすてきなグッズがリリースされるのを待ってます」
「はい! たくさん可愛いのをデザインして、ハンプティと一緒に動画で紹介しますね」
「うん、楽しみにしてる」

あーみゃと紗理奈は笑顔でしばしの別れを惜しんでいた。
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