あえかなる君へ 心からの愛を
時間になるとそれぞれ担当者が到着し、持ち場につく。
乙葉は控え室に二人の様子を見に行った。
「失礼しまーす。紗理奈さん、準備はいかがですか?」
「あっ、乙葉ちゃん」
「わあ、きれい! 紗理奈さん、とってもすてきです」
「そう? ありがとう」
紗理奈はヘアメイクの途中で、ふわりと柔らかくアップにまとめた髪にたくさんの花を飾っていた。
「結婚式の時はクラシカルにカチッとしたヘアスタイルで、お花じゃなくティアラだったから、こうして別のドレスも着られてうれしい」
紗理奈はそう言って笑う。
二人はパーティーの為に事前に、レストランと提携しているレンタルドレスショップで衣装を選んでいた。
「彼も式の時はブラックタキシードだったけど、今回はシャンパンゴールドにしたの。こっちの方がかっこいい」
紗理奈の言葉に君島は「おいおい」と苦笑いする。
「どっちもかっこいいよ。だから二着着られてよかったね」
「そうだな。紗理奈も式はとびきりきれいだったけど、今夜はとびきり可愛いよ」
「そう? ありがとう」
甘い眼差しで見つめ合う二人に乙葉は気恥ずかしくなり、「ではまた後ほど」と言ってそそくさと部屋を出た。
「堀井、どうした? 顔が真っ赤だけど」
柊が近づいて来て、乙葉の顔を覗き込む。
「いや、あの、すごいラブラブ光線を浴びてしまって」
「ははっ、なんだよ、それ」
「森住もそのうちわかるよ。ものすごい威力なんだからね」
「なるほど、楽しみにしてる」
そうこうしているうちに、パーティー開始十五分前になり、続々と参加者が集まって来た。
全員で七十人ほどとあって、既に会場内は大勢の人で賑わっている。
「はい、受付を終えたら、こちらへどうぞ」
小森がてきぱきと場を仕切ってくれ、いよいよ五分前となった。
乙葉は再び紗理奈たちの控え室を訪れる。
「失礼します……ひゃあ、お二人ともとってもすてき!」
ベルスリーブのふわりとした紗理奈のドレスは、シンプルながら後ろの長いトレーンがレースになっていて美しく、ノーブルな紗理奈の雰囲気によく合っていた。
隣で腕を組む君島も、輝くような明るい色合いのシャンパンゴールドのタキシードをスタイルよく着こなしている。
「はあ、なんて神々しい」
感嘆のため息をつくと、「乙葉ちゃんたら」と紗理奈が君島と顔を見合わせて微笑む。
時間になり、乙葉は二人を会場につながる幕の前に促した。
「それではいよいよ、新郎新婦のご入場です!」
マイクを通した司会者の声がして、BGMが華やかなウェディングソングに変わる。
乙葉は紗理奈たちに目配せしてから、幕を開けた。
スポットライトに二人の姿が浮かび上がり、一斉に「きゃー、すてき」と歓声が上がる。
二人は一歩前に出て深々とお辞儀をすると、笑顔でメインテーブルへと歩き始めた。
乙葉はすぐ後ろに屈んで、紗理奈のドレスのトレーンをさばく。
二人がメインテーブルに着くと、拍手はより一層大きくなった。
部長の挨拶と乾杯のあとは、紗理奈たちと写真を撮ったり食事を楽しんだりと思い思いに過ごす。
ビンゴ大会も盛り上がり、新郎新婦のケーキカットは幸せいっぱいの二人の甘い雰囲気に包まれた。
柊が編集した動画は各部署を回って集めたコメントもあり、パーティーに参加できなかった人が「おめでとう!」と二人に祝福の言葉を贈る。
紗理奈は時折涙を拭いながら映像を見つめていた。
そして二人の挙式の様子も紹介される。
柊の編集もすばらしく、美しいチャペルで永遠の愛を誓い合う二人の姿は、まるで映画のワンシーンのように感動的だった。
パーティーは大盛況のうちにお開きとなる。
「乙葉ちゃん、柊くん、本当にありがとね」
片付けを終えて控え室に行くと、紗理奈が改めてお礼を言い、パーティーで手にしていたピンクのブーケを乙葉に差し出した。
「乙葉ちゃん、よかったら受け取って」
「えっ、いいんですか?」
「もちろん。乙葉ちゃん、何かあったらいつでも連絡してきて。一人で悩んじゃだめよ? 話を聞くくらいなら私にもできるから。ね?」
「紗理奈さん……」
こらえていた涙が一気に込み上げる。
「紗理奈さん、私、変わりたい。強くなりたいです。紗理奈さんがいなくても、一人で大丈夫だって胸を張って言えるように」
「乙葉ちゃん……。無理しなくていいの、これ以上がんばらないで。あなたに必要なのは、誰かに頼ること。弱音を吐いていいの。本音を聞いてくれる相手が必ずいるから。ね?」
涙が止まらない乙葉を、紗理奈は優しく抱きしめていた。
乙葉は控え室に二人の様子を見に行った。
「失礼しまーす。紗理奈さん、準備はいかがですか?」
「あっ、乙葉ちゃん」
「わあ、きれい! 紗理奈さん、とってもすてきです」
「そう? ありがとう」
紗理奈はヘアメイクの途中で、ふわりと柔らかくアップにまとめた髪にたくさんの花を飾っていた。
「結婚式の時はクラシカルにカチッとしたヘアスタイルで、お花じゃなくティアラだったから、こうして別のドレスも着られてうれしい」
紗理奈はそう言って笑う。
二人はパーティーの為に事前に、レストランと提携しているレンタルドレスショップで衣装を選んでいた。
「彼も式の時はブラックタキシードだったけど、今回はシャンパンゴールドにしたの。こっちの方がかっこいい」
紗理奈の言葉に君島は「おいおい」と苦笑いする。
「どっちもかっこいいよ。だから二着着られてよかったね」
「そうだな。紗理奈も式はとびきりきれいだったけど、今夜はとびきり可愛いよ」
「そう? ありがとう」
甘い眼差しで見つめ合う二人に乙葉は気恥ずかしくなり、「ではまた後ほど」と言ってそそくさと部屋を出た。
「堀井、どうした? 顔が真っ赤だけど」
柊が近づいて来て、乙葉の顔を覗き込む。
「いや、あの、すごいラブラブ光線を浴びてしまって」
「ははっ、なんだよ、それ」
「森住もそのうちわかるよ。ものすごい威力なんだからね」
「なるほど、楽しみにしてる」
そうこうしているうちに、パーティー開始十五分前になり、続々と参加者が集まって来た。
全員で七十人ほどとあって、既に会場内は大勢の人で賑わっている。
「はい、受付を終えたら、こちらへどうぞ」
小森がてきぱきと場を仕切ってくれ、いよいよ五分前となった。
乙葉は再び紗理奈たちの控え室を訪れる。
「失礼します……ひゃあ、お二人ともとってもすてき!」
ベルスリーブのふわりとした紗理奈のドレスは、シンプルながら後ろの長いトレーンがレースになっていて美しく、ノーブルな紗理奈の雰囲気によく合っていた。
隣で腕を組む君島も、輝くような明るい色合いのシャンパンゴールドのタキシードをスタイルよく着こなしている。
「はあ、なんて神々しい」
感嘆のため息をつくと、「乙葉ちゃんたら」と紗理奈が君島と顔を見合わせて微笑む。
時間になり、乙葉は二人を会場につながる幕の前に促した。
「それではいよいよ、新郎新婦のご入場です!」
マイクを通した司会者の声がして、BGMが華やかなウェディングソングに変わる。
乙葉は紗理奈たちに目配せしてから、幕を開けた。
スポットライトに二人の姿が浮かび上がり、一斉に「きゃー、すてき」と歓声が上がる。
二人は一歩前に出て深々とお辞儀をすると、笑顔でメインテーブルへと歩き始めた。
乙葉はすぐ後ろに屈んで、紗理奈のドレスのトレーンをさばく。
二人がメインテーブルに着くと、拍手はより一層大きくなった。
部長の挨拶と乾杯のあとは、紗理奈たちと写真を撮ったり食事を楽しんだりと思い思いに過ごす。
ビンゴ大会も盛り上がり、新郎新婦のケーキカットは幸せいっぱいの二人の甘い雰囲気に包まれた。
柊が編集した動画は各部署を回って集めたコメントもあり、パーティーに参加できなかった人が「おめでとう!」と二人に祝福の言葉を贈る。
紗理奈は時折涙を拭いながら映像を見つめていた。
そして二人の挙式の様子も紹介される。
柊の編集もすばらしく、美しいチャペルで永遠の愛を誓い合う二人の姿は、まるで映画のワンシーンのように感動的だった。
パーティーは大盛況のうちにお開きとなる。
「乙葉ちゃん、柊くん、本当にありがとね」
片付けを終えて控え室に行くと、紗理奈が改めてお礼を言い、パーティーで手にしていたピンクのブーケを乙葉に差し出した。
「乙葉ちゃん、よかったら受け取って」
「えっ、いいんですか?」
「もちろん。乙葉ちゃん、何かあったらいつでも連絡してきて。一人で悩んじゃだめよ? 話を聞くくらいなら私にもできるから。ね?」
「紗理奈さん……」
こらえていた涙が一気に込み上げる。
「紗理奈さん、私、変わりたい。強くなりたいです。紗理奈さんがいなくても、一人で大丈夫だって胸を張って言えるように」
「乙葉ちゃん……。無理しなくていいの、これ以上がんばらないで。あなたに必要なのは、誰かに頼ること。弱音を吐いていいの。本音を聞いてくれる相手が必ずいるから。ね?」
涙が止まらない乙葉を、紗理奈は優しく抱きしめていた。