あえかなる君へ 心からの愛を
穏やかに日々が過ぎていく。
そう思っていたが、七月に入ったある日、ピンチは突然やって来た。
「柊、コラボグッズのサイトが炎上してる!」
君島に言われて、柊は急いでサイトを開く。
お客さまレビューやSNSのコメントがどんどん増えていた。
【えー、そんな粗悪品だったんだ】
【私も買おうと思ってたけどやーめた】
【これまではたまたま大丈夫だったけど、そんなひどいものに当たったらいやだから、もう買わないでおこう】
一体どういうことだ? と、柊ははやる気持ちを抑えてくまなくチェックする。
どうやらあるレビューがきっかけのようだった。
そこには写真付きで【見てこれ! あーみゃのTシャツ買ったらボロボロのが届いた!】とある。
写真を拡大すると、Tシャツの首元が大きくほつれて糸が飛び出し、生地もヨレヨレだった。
(くそっ、そんな訳あるか!)
驚くことにそんな投稿は一つではなかった。
【キーホルダーを買ったらチャームが取れてたー】
【フローティングボールペンのオイルが漏れてベトベト】
そんな投稿が相次ぎ、そのあとはそれを見た人が【ひどーい!】【絶対買わない】と反応している。
(わざとやったな。嫌がらせに決まってる)
グッと奥歯を噛みしめて立ち上がった。
「君島さん、すぐにマーケに行ってきます」
「頼む。こっちのことは俺が引き受ける」
「ありがとうございます、お願いします」
既に部長たちに詰め寄られている君島にそう言い残し、柊は乙葉のいるオフィスに走った。
「どういうことだ。主任、一体どうなってる?」
廊下にまで声が聞こえてきて、柊はすぐさま中に駆け込む。
マーケティング部の部長や広報課の課長たちが乙葉を取り囲んでいた。
「これは悪質な嫌がらせです。このグッズは全て国内の工場で生産し、厳しく検品を行っています。ここまで酷いほつれは意図しない限りあり得ません。悪意を持ってわざとはさみを入れたものだと思われます。キーホルダーのパーツ切れも工具を使ってわざと壊し、フローティングボールペンのオイル漏れも無理にペンチか何かでひび割れさせたと推察します」
「君の推察はいい、この事態をどうするんだと訊いている」
柊はすぐさま乙葉の前に身を滑らせた。
「DX本部の担当SE、森住です。これからすぐに解析し、悪質な嫌がらせであることを証明します。部長は法務部の顧問弁護士と連携を取り、お客さまの相談窓口を開設していただけますか? よろしくお願いいたします」
部長はハッと我に返り、急いで課長に指示を出す。
柊は乙葉を振り返って顔を覗き込んだ。
「堀井、大丈夫か?」
優しく声をかけると、乙葉は小さく頷く。
「うん、大丈夫……」
だがそう答えた乙葉の瞳が込み上げる涙で潤む。
柊は「すぐにDX本部で対応します」と部長たちに言い残し、乙葉の肩を抱いてオフィスを出た。
そう思っていたが、七月に入ったある日、ピンチは突然やって来た。
「柊、コラボグッズのサイトが炎上してる!」
君島に言われて、柊は急いでサイトを開く。
お客さまレビューやSNSのコメントがどんどん増えていた。
【えー、そんな粗悪品だったんだ】
【私も買おうと思ってたけどやーめた】
【これまではたまたま大丈夫だったけど、そんなひどいものに当たったらいやだから、もう買わないでおこう】
一体どういうことだ? と、柊ははやる気持ちを抑えてくまなくチェックする。
どうやらあるレビューがきっかけのようだった。
そこには写真付きで【見てこれ! あーみゃのTシャツ買ったらボロボロのが届いた!】とある。
写真を拡大すると、Tシャツの首元が大きくほつれて糸が飛び出し、生地もヨレヨレだった。
(くそっ、そんな訳あるか!)
驚くことにそんな投稿は一つではなかった。
【キーホルダーを買ったらチャームが取れてたー】
【フローティングボールペンのオイルが漏れてベトベト】
そんな投稿が相次ぎ、そのあとはそれを見た人が【ひどーい!】【絶対買わない】と反応している。
(わざとやったな。嫌がらせに決まってる)
グッと奥歯を噛みしめて立ち上がった。
「君島さん、すぐにマーケに行ってきます」
「頼む。こっちのことは俺が引き受ける」
「ありがとうございます、お願いします」
既に部長たちに詰め寄られている君島にそう言い残し、柊は乙葉のいるオフィスに走った。
「どういうことだ。主任、一体どうなってる?」
廊下にまで声が聞こえてきて、柊はすぐさま中に駆け込む。
マーケティング部の部長や広報課の課長たちが乙葉を取り囲んでいた。
「これは悪質な嫌がらせです。このグッズは全て国内の工場で生産し、厳しく検品を行っています。ここまで酷いほつれは意図しない限りあり得ません。悪意を持ってわざとはさみを入れたものだと思われます。キーホルダーのパーツ切れも工具を使ってわざと壊し、フローティングボールペンのオイル漏れも無理にペンチか何かでひび割れさせたと推察します」
「君の推察はいい、この事態をどうするんだと訊いている」
柊はすぐさま乙葉の前に身を滑らせた。
「DX本部の担当SE、森住です。これからすぐに解析し、悪質な嫌がらせであることを証明します。部長は法務部の顧問弁護士と連携を取り、お客さまの相談窓口を開設していただけますか? よろしくお願いいたします」
部長はハッと我に返り、急いで課長に指示を出す。
柊は乙葉を振り返って顔を覗き込んだ。
「堀井、大丈夫か?」
優しく声をかけると、乙葉は小さく頷く。
「うん、大丈夫……」
だがそう答えた乙葉の瞳が込み上げる涙で潤む。
柊は「すぐにDX本部で対応します」と部長たちに言い残し、乙葉の肩を抱いてオフィスを出た。