あえかなる君へ 心からの愛を
「ごめん、森住。私一人では何もできなくて……」

歩き出すと乙葉がポツリと呟いてうつむく。
柊はそんな乙葉の頭にポンと手を置いた。

「当たり前だ。お前があの場で全てを解決したら、コナンくんもびっくりだし俺も立場がない。あとは全部任せろ」
「コナンくんに?」
「バカ、俺にだよ」

明るく笑って乙葉とDX本部に戻り、デスクでパソコンに向かった。

「さてと、見てろよ」

隣に座る乙葉にニヤリと不敵な笑みを見せてから、柊はマウスを操作して次々とページを開く。
と同時に顔を上げて君島に声をかけた。

「君島さん、これ以上の不正な書き込みを防ぐ為にフロントエンドとサーバー側で制限をかけてもらえますか?」
「了解。柊、問題のアクセスログはちゃんとバックアップ取っておけよ。法的措置を取る場合の証拠になる」
「もちろん、わかってます」

カタカタとパソコンを操作しながら、柊は乙葉に説明する。

「これは恐らく一人の人物による大量投稿だ。まずアクセスログを解析してIPアドレスや端末を特定し、サーバー設定でそのIPからのアクセスを遮断する。嫌がらせのツールを海外のプロキシサーバーを通している可能性もあるけど、これはそこまで手が込んでいないと思う。単なる捨てアカを使った嫌がらせだな。その証拠をあぶり出すよ」
「どうやって?」
「全ての書き込みのIPアドレスを比較する。あとは投稿に使われた端末のOS、添付された写真の画像解析。そうすると……」

じっとモニターを見つめてから、柊は乙葉に頷いてみせた。

「出たぞ。 この書き込みは全て同じ回線が使われている。つまり一人の自作自演だ。キャリアはドコモ、iPhone 16 Proが使われている」
「そんなことまでわかるの?」
「もちろん。あとはこの捨てアカだな。中に一件だけ、実際にうちのサイトで商品を買った時のアカウントと一致するものがある。その購入履歴と顧客名簿を照らし合わせて……こいつだな。特定完了」
「すごい、もう?」
「ああ。これを証拠としてプリントアウトする。持ってけ」
「うん、ありがとう」

印刷した資料を手渡すと、乙葉はキリッとした表情で柊を見上げる。

「森住、ありがとう。あとは私がやるね」
「……一人で大丈夫か?」
「もちろん! じゃあね」

くるりと背を向けてオフィスを出て行く乙葉の背中に、柊は小さく「がんばれ」と呟いた。
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