あえかなる君へ 心からの愛を
ようやく気づいた想い
「柊、お疲れ」
法務部に呼ばれていた君島が帰って来て、柊はすぐさま立ち上がる。
「どうでしたか?」
「うん、早々に顧問弁護士が動いてくれた。乙葉ちゃんがきちんとした文章を作成して、証拠として部長に提出したんだ。それをもとに弁護士が犯人に警告文を送付した。どうやらポップカルチャーを発信しているインフルエンサーで、注目を浴びるあーみゃちゃんを陥れたかったらしい。すぐに謝罪文が来て、投稿は全て削除すると言ってきたよ。うちの公式サイトでも経緯を詳しく説明して、潔白を証明できた。よくやったな、柊」
柊はホッと胸なでおろす。
「いえ、君島さんにも随分助けられました。ありがとうございました」
「それより乙葉ちゃんだ。まだたくさん報告書を抱えているから、手伝ってやれ」
「はい、わかりました」
「俺はこれで帰るけど、何かあったらいつでも連絡してくれ」
「もうこんな時間なんですね」
時計を見ると二十時になろうとしていた。
「君島さん、早く帰ってください。奥さんと娘さんが待ってますよ」
「柊もお疲れ。さてと、紗理奈と紗彩に癒やされよう。いいぞー、家庭は」
「ははっ、ごちそうさまです」
笑って君島を見送ると、柊は乙葉のオフィスに様子を見に行った。
誰もいなくなったガランとした部屋で、乙葉が一人パソコンに向かっている。
「堀井」
入り口から声をかけると、乙葉がパッと顔を上げた。
「森住! よかった、ちょっと訊きたいことがあって。報告書を書いてるんだけど、言葉の使い方がよくわからないの。IPアドレスって、部長に伝えやすくするにはどう書けばいい?」
柊は乙葉のデスクに近づいて、パソコンのモニターに目をやる。
専門用語に四苦八苦している文章が見て取れた。
「俺でよければ代わりに作ろうか?」
「ほんと? 助かる!」
「じゃあオフィス移動しよう」
「わかった。ちょっと待ってね」
荷物をまとめるとパソコンをシャットダウンし、乙葉は立ち上がる。
二人で廊下に出て歩きながら、改まったように乙葉が頭を下げた。
「森住、今日は本当にありがとう。すごくすごく助かった。私一人ではどうなってたかわからない」
「俺は大したことしてない。そもそも堀井が一人で抱え込むことじゃないだろ? 俺たちはチームなんだから。いつでもどんなことでも、俺を頼れ。わかったか?」
「うん、わかっ……」
涙声になったかと思うと、乙葉はポロポロと涙をこぼし始めた。
「ごめん、ちょっとホッとしちゃって……」
柊は、ふっと笑って乙葉の頭を抱き寄せる。
「泣き虫だな、けどよくやった」
「森住、ありがと……」
声を詰まらせて泣き続ける乙葉を、柊は優しく抱きしめた。
法務部に呼ばれていた君島が帰って来て、柊はすぐさま立ち上がる。
「どうでしたか?」
「うん、早々に顧問弁護士が動いてくれた。乙葉ちゃんがきちんとした文章を作成して、証拠として部長に提出したんだ。それをもとに弁護士が犯人に警告文を送付した。どうやらポップカルチャーを発信しているインフルエンサーで、注目を浴びるあーみゃちゃんを陥れたかったらしい。すぐに謝罪文が来て、投稿は全て削除すると言ってきたよ。うちの公式サイトでも経緯を詳しく説明して、潔白を証明できた。よくやったな、柊」
柊はホッと胸なでおろす。
「いえ、君島さんにも随分助けられました。ありがとうございました」
「それより乙葉ちゃんだ。まだたくさん報告書を抱えているから、手伝ってやれ」
「はい、わかりました」
「俺はこれで帰るけど、何かあったらいつでも連絡してくれ」
「もうこんな時間なんですね」
時計を見ると二十時になろうとしていた。
「君島さん、早く帰ってください。奥さんと娘さんが待ってますよ」
「柊もお疲れ。さてと、紗理奈と紗彩に癒やされよう。いいぞー、家庭は」
「ははっ、ごちそうさまです」
笑って君島を見送ると、柊は乙葉のオフィスに様子を見に行った。
誰もいなくなったガランとした部屋で、乙葉が一人パソコンに向かっている。
「堀井」
入り口から声をかけると、乙葉がパッと顔を上げた。
「森住! よかった、ちょっと訊きたいことがあって。報告書を書いてるんだけど、言葉の使い方がよくわからないの。IPアドレスって、部長に伝えやすくするにはどう書けばいい?」
柊は乙葉のデスクに近づいて、パソコンのモニターに目をやる。
専門用語に四苦八苦している文章が見て取れた。
「俺でよければ代わりに作ろうか?」
「ほんと? 助かる!」
「じゃあオフィス移動しよう」
「わかった。ちょっと待ってね」
荷物をまとめるとパソコンをシャットダウンし、乙葉は立ち上がる。
二人で廊下に出て歩きながら、改まったように乙葉が頭を下げた。
「森住、今日は本当にありがとう。すごくすごく助かった。私一人ではどうなってたかわからない」
「俺は大したことしてない。そもそも堀井が一人で抱え込むことじゃないだろ? 俺たちはチームなんだから。いつでもどんなことでも、俺を頼れ。わかったか?」
「うん、わかっ……」
涙声になったかと思うと、乙葉はポロポロと涙をこぼし始めた。
「ごめん、ちょっとホッとしちゃって……」
柊は、ふっと笑って乙葉の頭を抱き寄せる。
「泣き虫だな、けどよくやった」
「森住、ありがと……」
声を詰まらせて泣き続ける乙葉を、柊は優しく抱きしめた。