あえかなる君へ 心からの愛を
これからはずっとそばで
『乙葉ちゃん、今年もうちでクリスマスパーティーしようよ。柊くんも一緒に』

十一月の終わりに紗理奈からそう電話がかかって来て、乙葉は「はい、ぜひ」と返事をする。

「もう紗彩ちゃんに会いたくて会いたくて。私、紗彩ちゃんに可愛いプレゼント選んで行きますね」
『そんな気を遣わなくていいから。手ぶらで来てね。あ、柊くんだけは忘れずに』
「ふふっ、森住は持ち物ですか?」
『そう、絶対に忘れないでね。楽しみにしてる』

電話を切ると、乙葉は柊にメッセージを送った。
どうやら柊も君島から同じように誘われたところらしく、【俺も堀井を忘れるなって言われた】と書かれている。

【じゃあ一緒に行きますか】
【そうだな】

日程は十二月二十三日の土曜日とのことで、乙葉は早速クリスマスプレゼントを考え始めた。

(紗彩ちゃんにとっては初めてのクリスマスかあ。どんなものが喜ばれるかな? おもちゃとか? お洋服も捨てがたいし)

あれこれと選ぶのは楽しく、時折柊にメッセージを送って【どれがいいと思う?】と相談した。

そして当日。
去年と同じデパートでオードブルとケーキを買い、お花と紗彩へのプレゼントを手に二人で紗理奈たちのマンションに向かった。

「いらっしゃーい」

満面の笑みで出迎えてくれた紗理奈の腕の中で、紗彩が「あーい!」と手を挙げる。

「こんにちは。紗彩ちゃん、可愛い! お洋服がサンタさんですね」
「ふふっ、そうなの。さあ、どうぞ入って」
「はい、お邪魔します」

リビングに行くと、ソファにいた君島が「いらっしゃい」とにこやかな笑みを浮かべて立ち上がった。

「ちゃんと乙葉ちゃん連れて来たな、柊」
「なんですか? それ」
「いや、あまりにもヤキモキさせるからさ。紗理奈と二人でじれったいなって話してたんだ」

なんのことだろう? と、乙葉は柊と顔を見合わせる。

「まあ、とにかく座って。早速食事にしよう。紗理奈が朝から張り切って作ってたんだ」
「そうなんですね。私たちもオードブル買ってきました。紗理奈さん、お手伝いします」

乙葉は早速手を洗って紗理奈とキッチンに並ぶ。

「わあ、ローストチキンですね。美味しそう」
「ハーブまぶしてオーブンで焼いただけなんだけどね。あとはラザニアとカチャトーラ」
「すごいごちろうですね。これ、サラダとオードブルを買ってきました。あと、ケーキも」
「ありがとう!ブッシュドノエルを作ったんだけど、小さめだからちょうどよかった」

二人で大皿に盛りつけ、小さな取り皿と一緒にダイニングテーブルに並べた。

「できたわよー」

紗理奈が声をかけると、クリスマスツリーの飾りに手を伸ばして遊んでいた紗彩を抱いた君島と柊がやって来る。

「おお、豪華だな」
「ふふっ、でも紗彩はまだ早いからこっちね」

そう言ってベビーチェアに紗彩を座らせ、離乳食を並べた。

「じゃあ、乾杯するか。今日はみんなアルコール飲めるよな?」

君島が確認して、シャンパンを開ける。

「ではでは、メリークリスマス!」

皆でグラスを掲げると、紗彩が「あーい!」と手を挙げて笑った。
< 56 / 66 >

この作品をシェア

pagetop