あえかなる君へ 心からの愛を
食事を終えると柊は乙葉のマンションまで車を走らせ、「着替えを持っておいで」と言う。

「え、あの、ほんとに?」
「俺が冗談言うタイプに見えるか? ほら、早く」
「うん」

言われるがまま、乙葉は部屋で荷物をまとめて再びエントランスに下り、柊のマンションまで連れて来られた。

「お邪魔します……」
「違うな、乙葉。『ただいま』だ」

真顔でサラリと言い、スタスタとリビングに向かう柊の背中を、乙葉は信じられない思いで見つめた。

(あれって、ほんとに森住? 中身が違うとか?)

けれど確かに唇には柊とのキスの感触が残っている。

(やだ、私、本当に森住と?)

立ち尽くしていると、柊が顔を覗かせた。

「どうした、乙葉。おばけでもいたか?」

途端に乙葉は「ひゃあ!」と言って慌てて柊に駆け寄る。

「ははっ、やっと俺のところに来た」

柊は笑って乙葉を抱きしめた。

「もう離さないかな、覚悟しろよ?」

乙葉がおずおずと顔を上げると、柊の顔から笑みが消える。

「乙葉……好きだ」

かすれた声でそう呟き、ギュッと乙葉を抱きしめながら口づける。

「んっ……、待って」
「どれだけ待ったと思ってる? もう待てない」

想いをぶつけるような柊のキスを、乙葉は全身で受け止めていた。
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