あえかなる君へ 心からの愛を
「乙葉、おいで」

交代でシャワーを浴び、髪を乾かしてから寝室に行くと、柊がプラネタリウムを手に笑いかける。

「早速観よう」
「うん。ちゃんと映るかな?」
「電気消すぞ」
「待って、怖いから」
「はいはい」

柊は笑って乙葉を抱き寄せ、リモコンで照明を暗くする。

「じゃあ、いくぞ?」
「うん」

カチッとプラネタリウムのスイッチを入れると、天井いっぱいに満天の星が広がった。

「わあっ、きれい」
「ああ、リアルだな」

小さく音楽が流れる中、乙葉は柊と並んで横になり、ゆっくりと移り変わる星空を眺めた。

「あれが北斗七星?」
「そう。今は冬の空だから、もう少ししたらスピカが見える」
「そっか。あのね、私、森住にスピカのことを教えてもらって、自分に自信が持てるようになったの。なんか変に聞こえるかもしれないけど、私も星のように輝きたいって思えた。森住、顔に似合わずロマンチストだね。おかげで私、すごく救われたの」
「……乙葉、上げて落としてまた上げてって感じだな」
「ん? なにが……あっ!」
「びっくりした、今度は何だよ?」

眉間にしわを寄せる柊に、乙葉は壁の時計を指差す。

「見て、あと一分で日付けが変わる」
「ああ、そうだな。メリークリスマス」
「違うよ、森住のお誕生日だよ」

そう言って乙葉はじっと時計の秒針を見つめた。

「あと十五秒……十秒……五、四、三,二、一、ハッピーバースデー!」

笑顔で抱きつくと、柊が笑って乙葉を抱きしめる。

「ははっ、ありがとう。こんな盛り上がって誕生日迎えたの、初めてだわ」
「じゃあこれからは毎年こうやってお祝いするね。そうだ、プレゼント渡さなきゃ」

起き上がろうとすると、柊に抱きすくめられた。

「乙葉、プレゼントは朝になったらちょうだい。今は俺のお願い聞いて」
「いいけど、なあに?」
「俺の名前、呼んで」

乙葉は一気に顔を赤らめた。

「え……っとそれは、その。面と向かっては恥ずかしくて……」
「じゃあこうしよう」

柊は半身を起こすと乙葉に覆いかぶさるように熱くキスをする。

「んっ……」

逃れようとするとさらに強く抱きしめられ、吐息をもらすとそれさえも奪われて深く口づけられた。

「乙葉……愛してる」
「私も……、柊」

柊の身体がピクッと跳ね、またしてもキスの雨が浴びせられた。

「乙葉、好きだ」
「私も、柊が大好き」

互いを抱きしめ合い、愛をささやき合う二人を、天井に映し出されたスピカが小さく照らしていた。
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