妹に婚約者を奪われたので、冷酷公爵様のもとで自由に生きます~と思ったら、なぜか溺愛されています~
 ふわりと紅茶のいい香りがする。冷めてしまったので、アリンが淹れなおしてくれたのだ。

「そうだわ! 紅茶が好きだわ」

「早速好きなものが一つ見つかりましたね」

「ええ! それから……」

 二つ目の好きなものを思い浮かべようとして詰まってしまった。

「……簡単に出てこないわ」

 ふふとアリンが微笑む。

「焦ることはありません。そうですわ! 気分転換にお庭の四阿(あずまや)でお茶の時間を過ごされてはいかがですか? 何か思い浮かぶかもしれませんよ」

「それはいいわね!」

 アリンの素晴らしい提案に乗ることにした。


 クロスフォード侯爵邸の庭園は広く、季節ごとに様々な花が咲く。

 母とエイミーはバラが好きなので、庭園にはバラが多く植えられている。

 今はバラの季節ではないが、華やかな花々が咲き誇っていてきれいだ。

 眺めていると隠れるように白い小花が咲いているのが目に入る。

「あら、可愛い花ね」

 私は四阿を出てその花が咲いているところまで行き、屈む。

 華やかさはないが、白い花びらは可憐に風に揺れている。

「お嬢様、いかがされましたか?」

 振り返ると、アリンが焦った様子でこちらに歩み寄ってきた。四阿を出てこんなところで屈んでいるので、心配してくれたのだろう。
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