妹に婚約者を奪われたので、冷酷公爵様のもとで自由に生きます~と思ったら、なぜか溺愛されています~
 私が眉を寄せながら父を見ると、ため息を吐きながらこう切り出した。

「婚約解消の話が広まれば、いろいろと噂されるだろう。余計な詮索を避けるためにも、しばらくは屋敷で過ごすといいだろう」

「私が婚約を解消されたことを、恥ずべきことだとお考えなのですか?」

「そういう意味ではない」

 不機嫌そうに父は眉を寄せた。

「お前のためを思って言っているのだ」

 私のためだと言うが、本当に私のことを考えているのなら、どうして本人に相談もなく婚約解消を決めたのだろう。

 だが、父にそう訴えたところで無駄なことだろう。

 いつものように頷きかけて、はっとする。

 もう、何でもかんでも受け入れるのはやめると決めたのだ。

「お父様」

「何だ?」

「婚約解消の手続きについては異存ありません。ですが、社交の場を控える必要があるとは思いませんわ」

 料理に手をつけようとしていた父の手が止まる。

「アリシア。何を言っているの?」

 母は驚いたように私を見た。

「婚約解消は私だけの責任ではありません。ヴィクター様がエイミーを選ばれたからこそ、こうなったのです。それなのになぜ私が恥じて隠れなければなりませんの」

「お姉様」

 エイミーが今にも消えそうな声で私に呼びかける。
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