妹に婚約者を奪われたので、冷酷公爵様のもとで自由に生きます~と思ったら、なぜか溺愛されています~
「私のせいでお姉様がつらい思いをするのは嫌です」

 瞳にみるみる涙が浮かんでくるエイミーにいつもの私であれば、すぐに謝っていただろう。

 しかし、今は違う。

「エイミー」

「……はい」

「私は貴女を責めているわけではないわ」

 ポロポロと涙を零しながら、エイミーは顔を上げる。

「ただ、私が婚約を解消したからといって、社交の場を控える必要はないと言っているの」

「でも……」

「それに貴女がヴィクター様と結婚するのであれば、これからは貴女自身が彼を支えていかなければいけないのよ」

 私はそのまま静かに続ける。

「私が今までしてきたことを貴女が引き継ぐの」

 エイミーは目を見開いた。

「アリシア。お前はまだヴィクターに未練があるのか?」

 父が不快そうに眉を顰める。

「いいえ」

 私ははっきりと否定するように首を横に振った。

「未練はございません。ただ、これからは自分の時間を大切にしたいと思っているだけです」

「自分の時間だと?」

「はい。今まではクロスフォード侯爵家のため、家族のため、婚約者のために時間を使ってきました。これからは、自分が何をしたいのかを考えてみたいのです」

 口にした途端、胸の奥がすっと軽くなった。ずっとこう言いたかったのだ。
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