妹に婚約者を奪われたので、冷酷公爵様のもとで自由に生きます~と思ったら、なぜか溺愛されています~
 公爵閣下は慰めようとしているわけでもなければ、私に同情しているわけでもない。ただ事実を述べているだけに過ぎないのだ。

 当たり前のことだが、だからこそ、その言葉はすっと胸に入ってきた。

 だって、今まで誰もそんなふうには言ってくれなかったから。

 両親も妹も婚約者も私なら理解してくれるだろうと言っていた。

 誰も私のことなど気にもとめてなかったのだ。

「……そう……ですね。ありがとうございます」

 だから、気がつけばそう口にしていた。

「礼を言われるようなことはしていないが?」

 公爵閣下は意外そうに首を傾げる。

「ところで私への御用というのは、婚約解消のことでしょうか?」

 ヴィクターとの婚約解消が公爵閣下と何の関係があるのか見当もつかず、私は首を傾げながら尋ねる。

 すると、公爵閣下はソファから立ち上がり、私に向かってこう告げた。

「アリシア・クロスフォード侯爵令嬢。私と結婚してほしい」

「……はい?」

 思わず、間の抜けた声が出てしまった。
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