妹に婚約者を奪われたので、冷酷公爵様のもとで自由に生きます~と思ったら、なぜか溺愛されています~
「この報告書をまとめるには、資料を集め、数字を照合する必要がある。片手間にできる仕事ではない」
「それは……」
「君は自分の仕事を過小評価しすぎだな」
「私が作成したと認めたら、彼の評価はどうなるのでしょうか?」
自分から出た言葉に驚く。私はまだヴィクターのことを優先していると……。
これからは自分のために生きる。好きなことを見つけて、自分の足で歩きたい。
そう決めたはずなのに……。
「アリシア嬢」
落ち着いた声が私の思考を遮る。
「私は君に彼を陥れろと言っているわけではない。事実を事実として認めることと、誰かを傷つけることは同じではない」
私はゆっくりと顔を上げた。
「これは君が作成した。それだけのことだ。彼の功績を奪うわけでもなく、君自身の働きをなかったことにする必要はない」
「私が作成したもの……」
公爵閣下の手元にある書類へ視線を落として、確かめるように呟く。
「自分の働きをどう扱うかは、君自身が決めればいいことだ。ただし、誰かを守るために自分を犠牲にすることは正しい選択だと思わないことだ」
書類の筆跡は確かに自分のものだった。資料を集めて読み込み、何日もかけて考え抜いたものだ。
「今まで周りの人のことを考えてどうするべきか決めていました。でも、これからは、自分がどうしたいか、ちゃんと考えてみたいと思っています」
「ああ。それがいい」
わずかに目を細めた公爵閣下は微笑んでいるように見えた。
「とりあえず、好きなものを探してみたいです」
「そうか。それではこの本を読んでみるといい。アリシア嬢の好きなジャンルかは分からぬが、面白いぞ」
そうして公爵閣下が渡してくれた本は旅行記だった。
「それは……」
「君は自分の仕事を過小評価しすぎだな」
「私が作成したと認めたら、彼の評価はどうなるのでしょうか?」
自分から出た言葉に驚く。私はまだヴィクターのことを優先していると……。
これからは自分のために生きる。好きなことを見つけて、自分の足で歩きたい。
そう決めたはずなのに……。
「アリシア嬢」
落ち着いた声が私の思考を遮る。
「私は君に彼を陥れろと言っているわけではない。事実を事実として認めることと、誰かを傷つけることは同じではない」
私はゆっくりと顔を上げた。
「これは君が作成した。それだけのことだ。彼の功績を奪うわけでもなく、君自身の働きをなかったことにする必要はない」
「私が作成したもの……」
公爵閣下の手元にある書類へ視線を落として、確かめるように呟く。
「自分の働きをどう扱うかは、君自身が決めればいいことだ。ただし、誰かを守るために自分を犠牲にすることは正しい選択だと思わないことだ」
書類の筆跡は確かに自分のものだった。資料を集めて読み込み、何日もかけて考え抜いたものだ。
「今まで周りの人のことを考えてどうするべきか決めていました。でも、これからは、自分がどうしたいか、ちゃんと考えてみたいと思っています」
「ああ。それがいい」
わずかに目を細めた公爵閣下は微笑んでいるように見えた。
「とりあえず、好きなものを探してみたいです」
「そうか。それではこの本を読んでみるといい。アリシア嬢の好きなジャンルかは分からぬが、面白いぞ」
そうして公爵閣下が渡してくれた本は旅行記だった。