妹に婚約者を奪われたので、冷酷公爵様のもとで自由に生きます~と思ったら、なぜか溺愛されています~
「どうしてですか? だってお姉様は先日までヴィクター様と婚約していたのに……」

「エイミー。言葉を慎め」

 父がエイミーを窘めるが、彼女は納得できない様子だ。

「だって、おかしいじゃありませんか? エーデルシュタイン公爵といえば、この国の名門公爵家の当主ですよ。どうしてわざわざお姉様をエスコートしたいだなんて……」

 エイミーのその表情には疑問が浮かんでいる。

 どうして私なのか?

 きっと彼女はそう言いたいのだろう。

「エーデルシュタイン公爵閣下が私を誘ってくださったのよ。それ以上の理由が必要かしら?」

「で、でも……」

「それに私が誰と王宮舞踏会へ行くかは、私自身が決めていいことだわ」

 穏やかに微笑みながら告げると、エイミーは目を見開いた。

 母がおろおろとしながら私とエイミーを見比べる。

「アリシア。貴女、本当にエーデルシュタイン公爵と親しくしているの?」

「はい。それに……結婚の申し込みもいただいております」

 まだ、返事はしていないけれど。

「結婚!?」

 今度は両親が同時に声を上げた。

「お姉様が……公爵夫人に?」

 エイミーも先ほどよりさらに驚いた顔をしている。

「ま、待て。私のほうにはエーデルシュタイン公爵から結婚の打診が来ていないぞ」

 父が慌てたようにそう尋ねてくる。
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