妹に婚約者を奪われたので、冷酷公爵様のもとで自由に生きます~と思ったら、なぜか溺愛されています~
婚約してから三年間、私は彼のために尽くしてきたのだ。
彼の生家アディントン伯爵家は代々優秀な文官を輩出している。ヴィクターも王太子補佐官見習いとして王宮務めをしているのだが、文官としての才能があるほうではない。
文章を書くのが苦手だというから、ヴィクターに任されたはずの報告書を代理で処理した。それから、度々彼は仕事を私に任せてきたのだ。
そして――。
私は定期的に彼に宛てて手紙を書いたが、ヴィクターから返事が届くことは三回に一度あるくらいだった。だが、私は決して彼を責めなかった。
デートの約束をした日に急用が入ったと言われれば、いつだって「用事を優先して」と笑って見送った。
そうすることが、婚約者としてヴィクターを支えることだと思っていたから。
いつか結婚したら、二人で穏やかな家庭を築くのだと、そう信じていたのに……。
だが、ヴィクターは私でなく、妹を、エイミーを選んだ。
私が彼のために費やした時間も努力も思い出も全てが無駄だった。
彼にとってそれは何の意味もなかったのだろうと思うと、虚しさに襲われる。
「アリシア」
少し困ったように微笑みながら、母が私を呼ぶ。
「貴女の気持ちも分かるわ。でも、ヴィクターはエイミーが初めて本当に好きになった男性なのよ」
「……私も、ヴィクター様をお慕いしております」
彼の生家アディントン伯爵家は代々優秀な文官を輩出している。ヴィクターも王太子補佐官見習いとして王宮務めをしているのだが、文官としての才能があるほうではない。
文章を書くのが苦手だというから、ヴィクターに任されたはずの報告書を代理で処理した。それから、度々彼は仕事を私に任せてきたのだ。
そして――。
私は定期的に彼に宛てて手紙を書いたが、ヴィクターから返事が届くことは三回に一度あるくらいだった。だが、私は決して彼を責めなかった。
デートの約束をした日に急用が入ったと言われれば、いつだって「用事を優先して」と笑って見送った。
そうすることが、婚約者としてヴィクターを支えることだと思っていたから。
いつか結婚したら、二人で穏やかな家庭を築くのだと、そう信じていたのに……。
だが、ヴィクターは私でなく、妹を、エイミーを選んだ。
私が彼のために費やした時間も努力も思い出も全てが無駄だった。
彼にとってそれは何の意味もなかったのだろうと思うと、虚しさに襲われる。
「アリシア」
少し困ったように微笑みながら、母が私を呼ぶ。
「貴女の気持ちも分かるわ。でも、ヴィクターはエイミーが初めて本当に好きになった男性なのよ」
「……私も、ヴィクター様をお慕いしております」