妹に婚約者を奪われたので、冷酷公爵様のもとで自由に生きます~と思ったら、なぜか溺愛されています~
 無理もないだろう。

 エーデルシュタイン公爵家は、王国内屈指の名門だ。そんな格上の家から、先日婚約解消されたばかりの私に、正式な結婚の申し込みがあったのだから。

「公爵閣下は先日の王宮舞踏会に娘をお誘いくださったのだが、よくご存じなのだろうか?」

「はい。公爵閣下はアリシア嬢のお人柄を十分に理解したうえで、このご結婚を望んでおられます」

「……そうか」

 慎重な父に使者は穏やかな口調で答えた。

 その後も父と使者はいくつかやり取りをして、近々アルベール様が話し合いの場を設けることを伝えられた。

 また、アルベール様にお会いできると思うと心が躍るようだった。

◇◇◇

「……お姉様が、エーデルシュタイン公爵夫人に?」

 使者が帰った後、エイミーが呆然と呟いた。

 父は書状を机に置き、深く息を吐く。

「まさか、エーデルシュタイン公爵から正式な結婚の申し込みが来るとはな」

「本当にアリシアでよろしいのでしょうか? エーデルシュタイン公爵家なら、もっと釣り合いの取れる令嬢もいらっしゃるでしょうに……」

 遠慮がちに母が口を開くが、その言葉は私では役不足だと非難しているのだ。

 以前の私であれば、深く傷ついただろうが今はそんなことはない。
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