妹に婚約者を奪われたので、冷酷公爵様のもとで自由に生きます~と思ったら、なぜか溺愛されています~

12..花を贈ろう

 話し合いが終わった後、アルベール様が屋敷の案内をしてくれることになった。

 両親はサロンに移動してくつろいでいるはずだ。

 最初に案内されたのは、二階の奥まったところにある大きな扉だった。

 アルベール様が扉を開けると、まず天井に届きそうなほどの本棚が目に入る。

「わあ!」

 私は思わず声を上げた。

 広々とした室内には、正面から壁際までずらりと本棚が並び、棚には本がぎっしりと詰まっていた。

「ここは図書室だ。歴史や地理、専門書や旅行記など様々な部類の本がある」

 私は本棚に目を向けた。

 旅行記が置いてある棚には、先日アルベール様に勧められたものがあった。

「この本……」

「ああ、この間私が勧めた旅行記か? 面白かったか?」

「はい。とても面白かったです。食文化の違いにも驚きましたが、我が国にはない習慣なども興味深かったです。特に作者のトラブル談などはおかしくて……」

 そこまで語りかけて、はっと口を閉じる。つい夢中になって延々と感想を話し続けてしまった。

「そうだろう。この作者の旅行記はどれも面白い。東の大陸の話は読んだか?」

 ところがアルベール様は呆れるどころか、話が続くように会話を振ってくれる。

「はい。全四巻のうちの三巻の途中なのですが……」

 それからしばらく図書室でアルベール様と最近読んだ本について語り合った。
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