妹に婚約者を奪われたので、冷酷公爵様のもとで自由に生きます~と思ったら、なぜか溺愛されています~
 図書室でひとしきり語り合った後、アルベール様が庭園を案内してくれるという。

 ここへ来る時に見たスノードロップの花が見たかった私は、素直にうれしかった。

 整然と季節の花が植えられた中に素朴に佇んでいる白い花。

「この花が好きなのか?」

 私がスノードロップをじっと見ていると、アルベール様にそう問われる。

「はい。好きな花を探していた時に最初にきれいだと思った花が、このスノードロップなのです」

「そうか。ちなみにスノードロップの花言葉は『逆境からの希望』だ」

『逆境からの希望』今の私にピッタリの花言葉だ。

 この花に惹かれたのは、偶然ではないのかもしれない。

「では、領地の屋敷にある庭園にもこの花を植えさせておこう。他に好きな花はあるか?」

「他に……ですか?」

 私は足を止め考えてみた。どの花も美しいとは思うが、どれが好きかと聞かれると分からない。

「申し訳ございません。今のところは特に思いつきません」

「謝ることはない。それでは毎日君に花を贈ることにしよう」

「え?」

「毎日違う花を一輪ずつ君に贈れば、どんな花が好きなのか見つけられるかもしれない」

 唐突なアルベール様の提案に私はポカンとしてしまう。

「ま、毎日ですか?」

「そうだ。気に入った花があれば教えてくれ」

「でもそんなに毎日花をいただくなんて……」

「構わない。君の好きなものを探す手伝いをしたいと言っただろう?」

 確かに求婚された時に聞いた覚えがある。

「それに君の好きなものを知っていくのは、私にとっても楽しみなことなのだ」

 アルベール様が真面目な顔で言うので、私はドキリとする。

「……分かりました。それでは、楽しみにしています」

「うん。明日から届けさせよう」

「えっ! 明日からですか?」

 私が驚くと、アルベール様は楽しそうに笑う。
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