トラスト・ファンド・ベイビー 〜信託金目当てだったはずの金髪碧眼な資産家俳優に、私の絵ごと狙われています〜
「え?」
「デザインフェスでやってるだろ?」
唐突に告げられのは、年に一度だけ度胸試しの意味も込めて行っているものだった。
そこではイベントの二日間で壁画を作り上げていく。
舞台に上がって行うものではなく、ブースの巨大な壁面を借りてやっているものだ。
「偶然SNSを観たと言ったけど、本当は君の作品を観てた。毎年じゃないが行ったこともある。アビーが絵を描く姿は信用できるし、気に入ってる。絵は人の心を映すと言うだろ?あそこには誰に媚びることもないアビーの世界に溢れている」
毎年自分で撮影した動画を編集してSNSにも上げていたが、リアムはそれを観てくれていたのか。
「それにアビーとは駆け引きが必要なかったからな。僕のパートナーに最適だ」
リアムの人間離れした白い指が葵の黒髪をすくっては手櫛で解きほぐしてゆく。
あまり指通りが良いものではないだろうに、その手つきは甘く優しい。
「……リアムの行動力は相変わらず凄いね」
思い立って日本に押しかけてくるなんて。
――帰国したら他人だった相手。
リアムは葵を見に来ていたのだろうが、直接は会ってすらいなかったのに。
それなのに自分の直感を信じて疑わないリアムの傲慢とも言える自信が、一周して葵には羨ましく見える。
「行動力ならアビーだって同じだろ。ひとりでサンタフェまで来た」
ホームステイした夏を懐かしむようにリアムは言うが、葵はぎこちなく笑う。
「……それは、そういう制度を利用してたんだから、凄くないよ」
「デザインフェスでやってるだろ?」
唐突に告げられのは、年に一度だけ度胸試しの意味も込めて行っているものだった。
そこではイベントの二日間で壁画を作り上げていく。
舞台に上がって行うものではなく、ブースの巨大な壁面を借りてやっているものだ。
「偶然SNSを観たと言ったけど、本当は君の作品を観てた。毎年じゃないが行ったこともある。アビーが絵を描く姿は信用できるし、気に入ってる。絵は人の心を映すと言うだろ?あそこには誰に媚びることもないアビーの世界に溢れている」
毎年自分で撮影した動画を編集してSNSにも上げていたが、リアムはそれを観てくれていたのか。
「それにアビーとは駆け引きが必要なかったからな。僕のパートナーに最適だ」
リアムの人間離れした白い指が葵の黒髪をすくっては手櫛で解きほぐしてゆく。
あまり指通りが良いものではないだろうに、その手つきは甘く優しい。
「……リアムの行動力は相変わらず凄いね」
思い立って日本に押しかけてくるなんて。
――帰国したら他人だった相手。
リアムは葵を見に来ていたのだろうが、直接は会ってすらいなかったのに。
それなのに自分の直感を信じて疑わないリアムの傲慢とも言える自信が、一周して葵には羨ましく見える。
「行動力ならアビーだって同じだろ。ひとりでサンタフェまで来た」
ホームステイした夏を懐かしむようにリアムは言うが、葵はぎこちなく笑う。
「……それは、そういう制度を利用してたんだから、凄くないよ」