トラスト・ファンド・ベイビー 〜信託金目当てだったはずの金髪碧眼な資産家俳優に、私の絵ごと狙われています〜
『リアム!?どうしてこんな所に居るの?』

『アレックスに会いに来たんですよ』
『もう……来るなら連絡くれたら良かったのに』

『サプライズです。それに夏はアレックスと過ごすと決まってますから』
『うちの娘はサプライズが嫌いだけど?』

『だからサプライズするんでしょう?』

親友もとい悪友に対する嫌がらせを暴露すると、リズは呆れた面持ちでため息を溢してからアビーに英語で声をかけた。

『――ごめんね、アオイ。邪魔されたんでしょう?』
『いえ、大丈夫です。彼、楽しい人です』

『あら。珍しいわね。彼はね、リアム・ギルフォード。娘の友達よ』

珍しいのはアビーの反応か、それともリアムが楽しい人物と言われた事に対してか。

リズの発言に首を傾げたものの、リアムは緩慢と手を挙げた。

『リズ。自己紹介ならさっきしましたよ』

『あらそうだったの。と言うかリアム!うちにいるとあなたのお祖父様が良い顔しないでしょうし、ほどほどにしなさいよ』

リズは笑いながら言ったが、どこか困ったような表情が入り混じる。

というのもリズの元夫の実家は、祖父曰くギルフォード家にとって宿敵のような存在だった。

そのためアレックスとは不用意に交友を深めるなと再三釘を刺されている。
彼女の両親が離婚しても尚、だ。

『いいじゃないですか。僕の友人は僕が決めますから』

リズは言葉を飲み込むように唇を噛んだあと、力なく微笑んだ。

『うちの娘は良い友人が持てたのね……なら、どうする?アレックスはあと一週間は日本なの』

『そうですね……こっちに一晩泊って、明日にでも帰ります。また来ますよ』

ついさっき出会ったアビーの絵には興味深いものがあったが、彼女自身は退屈そうだ。

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