トラスト・ファンド・ベイビー 〜信託金目当てだったはずの金髪碧眼な資産家俳優に、私の絵ごと狙われています〜
アレックスが居ないなら日を改めて時間を有効活用しようとリアムは頭の中で計算しながら答えた。
リズは頷き、しかしそれからふと思いついたように双眸を細める。
『そう。なら、帰る前にアートマーケットに一緒にどう?明日アオイを案内するのよ』
言われてチラリとアビーを盗み見ると、彼女は若干期待を孕んだ瞳をしていた。
それは誰もがリアムに向ける好意の視線に似ていた。
リアムは自分の恵まれた顔立ちや体格に自信を持っていたので、ふんと鼻を鳴らしたあと考えを改める。
アートマーケットはアレックスと行くつもりでいたが、少し現地の雰囲気を味見ぐらいして良いかと。
好意の感情に浸りながら芸術を堪能するのも悪くない。
数時間ならアビーに自分の時間を分けてやっても良いと、そんな傲慢な結論に至ったのだ。
――――そうして翌日、リアムはアビー達と共にアートマーケットを訪れた。
夏のサンタフェは街の一部がアートの祭典と化し、美術品を売り買いするためのテントが並んでいる。
通りを歩けばエキゾチックな音楽が流れ、至るところで芸術家が自らの作品を発表していた。
アビーはそれらを興奮気味に見ている。
視線はキョロキョロと忙しなく、相変わらず小動物感が否めない。
テントの中を物色しながら歩いていると、一組のカップルのプロポーズ現場に遭遇した。
情熱的な赤い薔薇の花束を、恋人の視界を隠すように男が差し出している。
そんな姿を見て、それまで美術品ばかりに興奮していたアビーが息を呑んで立ち止まった。
『好きなのか?』
問えばアビーは濡れた黒い瞳で頬を紅潮させ、何度も頷く。
『アオイはロマンチックよねぇ』
リズが微笑ましそうに笑っていた。
そんなアビーの反応に、サプライズを嫌う親友を無意識に思い出しては、つくづく彼女達は正反対だとリアムは感じた。
リズは頷き、しかしそれからふと思いついたように双眸を細める。
『そう。なら、帰る前にアートマーケットに一緒にどう?明日アオイを案内するのよ』
言われてチラリとアビーを盗み見ると、彼女は若干期待を孕んだ瞳をしていた。
それは誰もがリアムに向ける好意の視線に似ていた。
リアムは自分の恵まれた顔立ちや体格に自信を持っていたので、ふんと鼻を鳴らしたあと考えを改める。
アートマーケットはアレックスと行くつもりでいたが、少し現地の雰囲気を味見ぐらいして良いかと。
好意の感情に浸りながら芸術を堪能するのも悪くない。
数時間ならアビーに自分の時間を分けてやっても良いと、そんな傲慢な結論に至ったのだ。
――――そうして翌日、リアムはアビー達と共にアートマーケットを訪れた。
夏のサンタフェは街の一部がアートの祭典と化し、美術品を売り買いするためのテントが並んでいる。
通りを歩けばエキゾチックな音楽が流れ、至るところで芸術家が自らの作品を発表していた。
アビーはそれらを興奮気味に見ている。
視線はキョロキョロと忙しなく、相変わらず小動物感が否めない。
テントの中を物色しながら歩いていると、一組のカップルのプロポーズ現場に遭遇した。
情熱的な赤い薔薇の花束を、恋人の視界を隠すように男が差し出している。
そんな姿を見て、それまで美術品ばかりに興奮していたアビーが息を呑んで立ち止まった。
『好きなのか?』
問えばアビーは濡れた黒い瞳で頬を紅潮させ、何度も頷く。
『アオイはロマンチックよねぇ』
リズが微笑ましそうに笑っていた。
そんなアビーの反応に、サプライズを嫌う親友を無意識に思い出しては、つくづく彼女達は正反対だとリアムは感じた。