トラスト・ファンド・ベイビー 〜信託金目当てだったはずの金髪碧眼な資産家俳優に、私の絵ごと狙われています〜
それからテントを見て回ったあと、人集りが出来ていた広場に訪れた。
そこには大きな壁をキャンバスにしてパフォーマンスをしている芸術家が居た。
エキゾチックな曲にアダルトな色が加わった音に合わせて、露出の高い衣装を纏う男が鍛え上げた身体を見せつけながら絵を描いているのだ。
広場を訪れた者はみな足を止めたと言ってもいいほどで、そこには興奮の渦が存在している。
『カッコいい……』
アビーは衝撃を受けており、彼に夢中だった。
ミーハーな興奮とは違う、感銘を受けているといった面持ちである。
『ならもっと近くで観ましょう』
リズが言って、三人で最前列まで人をかき分けた。
すると丁度、パフォーマンス中の男が周囲を見渡して『ゲストが欲しいな』と言う。
それからアビーを見て、ペンキを塗るためのまっさらなハケを差し出した。
『レディ、一緒にどうだい?』
アビーは自分にハケが差し出されて、心臓を吐き出すのではないかと思うほど真っ赤になって固まっている。
そんな姿を見て、リアムは隣で吐き出すように笑った。
――シャイな彼女には無理だろ。
とはいえ強引に舞台に駆り出されては可哀想だ。
リアムは助け舟を出そうかと代わりにハケへ手を伸ばしかけたが、しかし驚いたことに数拍早くアビーの方が前に出る。
――本気か?
面食らったのは言うまでもない。
ハケを握る指先は震えているのに、彼女は観衆が注目する場に自ら進み出たのだ。
『さぁレディ!君の魂をぶつけてごらん』
男の掛け声に、アビーは深く息を吸い込むと、一緒になってペンキの色を壁へ叩き塗る。
初めはぎこちなかった動きも、次第に軽やかになって、アビーはアビーの絵を全身で描いていた。
――まるで、天女だ。
そこには大きな壁をキャンバスにしてパフォーマンスをしている芸術家が居た。
エキゾチックな曲にアダルトな色が加わった音に合わせて、露出の高い衣装を纏う男が鍛え上げた身体を見せつけながら絵を描いているのだ。
広場を訪れた者はみな足を止めたと言ってもいいほどで、そこには興奮の渦が存在している。
『カッコいい……』
アビーは衝撃を受けており、彼に夢中だった。
ミーハーな興奮とは違う、感銘を受けているといった面持ちである。
『ならもっと近くで観ましょう』
リズが言って、三人で最前列まで人をかき分けた。
すると丁度、パフォーマンス中の男が周囲を見渡して『ゲストが欲しいな』と言う。
それからアビーを見て、ペンキを塗るためのまっさらなハケを差し出した。
『レディ、一緒にどうだい?』
アビーは自分にハケが差し出されて、心臓を吐き出すのではないかと思うほど真っ赤になって固まっている。
そんな姿を見て、リアムは隣で吐き出すように笑った。
――シャイな彼女には無理だろ。
とはいえ強引に舞台に駆り出されては可哀想だ。
リアムは助け舟を出そうかと代わりにハケへ手を伸ばしかけたが、しかし驚いたことに数拍早くアビーの方が前に出る。
――本気か?
面食らったのは言うまでもない。
ハケを握る指先は震えているのに、彼女は観衆が注目する場に自ら進み出たのだ。
『さぁレディ!君の魂をぶつけてごらん』
男の掛け声に、アビーは深く息を吸い込むと、一緒になってペンキの色を壁へ叩き塗る。
初めはぎこちなかった動きも、次第に軽やかになって、アビーはアビーの絵を全身で描いていた。
――まるで、天女だ。