トラスト・ファンド・ベイビー 〜信託金目当てだったはずの金髪碧眼な資産家俳優に、私の絵ごと狙われています〜
「……ありがとう」
ライブペイントの余韻を感じながら葵は小さく頷く。
それからある決意を伝えるべく、リアムの名を呼んだ。
「リアム」
「アビー」
ちょうど二人が互いを呼び合い目を合わせて笑う。
「ご、ごめん……先どうぞ」
「いや。君から話してくれ」
「えっと……」
リアムが珍しく葵に順番を譲るので、小さく吐息を零し見上げた。
決めたのだ。
ホームステイをしたあの頃のように。
これは、勇気を踏み出したあの一歩と同じだ。
ちゃんと認めなければならない。
都合のいい存在では嫌だと思うほどに、未だリアムに惹かれている事を。
そして、惹かれているからこそ力になりたいという矛盾を抱えていることを。
リアムの力で名を轟かせたいわけじゃない。
ただ、彼のプライドにかけた反抗に加担する。
共犯者はきっと、恋人同士よりも固い絆になるはずだ。
「リアムが言ってた結婚だけど……私で力になれるなら受けるよ。結婚しよっか、私達」
あれだけ意地を張ったのに、急に現れたリアムを最後まで突き返せないのは心が叫んでるから。
飾りでも、契約でも、なんでもいい。
チャンスを掴めと。
「いいのか?」
リアムが大きく瞳を瞬いて尋ねた。
葵は力強く頷き、微笑んだ。
「うん。リアムは自由に我が道を行くのが似合ってる。私はやっぱり、リアムの名前で名声が欲しいわけじゃないけど、でも……信託金のために建前が必要なら、引き受けるよ」
するとリアムは僅かに瞳を揺らす。
それが一瞬、戸惑いの色を孕んで見えたが気のせいだろう。
急にリアムの身体が視界を塞いで、気付けば抱き締められていた。
「わっ、汚れるよ……」
「いい。君のキャンバスになるつもりでここ居る」
「リアム……」
「君は僕の妻になるんだな……?」
「そうだよ。悪巧みに、こんな素人選んだんだから、お手柔らかにね」
そう言うと葵を抱きしめるリアムの腕が緩み、それから額に口付けが落とされる。
「手強いな、君は……」
ライブペイントの余韻を感じながら葵は小さく頷く。
それからある決意を伝えるべく、リアムの名を呼んだ。
「リアム」
「アビー」
ちょうど二人が互いを呼び合い目を合わせて笑う。
「ご、ごめん……先どうぞ」
「いや。君から話してくれ」
「えっと……」
リアムが珍しく葵に順番を譲るので、小さく吐息を零し見上げた。
決めたのだ。
ホームステイをしたあの頃のように。
これは、勇気を踏み出したあの一歩と同じだ。
ちゃんと認めなければならない。
都合のいい存在では嫌だと思うほどに、未だリアムに惹かれている事を。
そして、惹かれているからこそ力になりたいという矛盾を抱えていることを。
リアムの力で名を轟かせたいわけじゃない。
ただ、彼のプライドにかけた反抗に加担する。
共犯者はきっと、恋人同士よりも固い絆になるはずだ。
「リアムが言ってた結婚だけど……私で力になれるなら受けるよ。結婚しよっか、私達」
あれだけ意地を張ったのに、急に現れたリアムを最後まで突き返せないのは心が叫んでるから。
飾りでも、契約でも、なんでもいい。
チャンスを掴めと。
「いいのか?」
リアムが大きく瞳を瞬いて尋ねた。
葵は力強く頷き、微笑んだ。
「うん。リアムは自由に我が道を行くのが似合ってる。私はやっぱり、リアムの名前で名声が欲しいわけじゃないけど、でも……信託金のために建前が必要なら、引き受けるよ」
するとリアムは僅かに瞳を揺らす。
それが一瞬、戸惑いの色を孕んで見えたが気のせいだろう。
急にリアムの身体が視界を塞いで、気付けば抱き締められていた。
「わっ、汚れるよ……」
「いい。君のキャンバスになるつもりでここ居る」
「リアム……」
「君は僕の妻になるんだな……?」
「そうだよ。悪巧みに、こんな素人選んだんだから、お手柔らかにね」
そう言うと葵を抱きしめるリアムの腕が緩み、それから額に口付けが落とされる。
「手強いな、君は……」