トラスト・ファンド・ベイビー 〜信託金目当てだったはずの金髪碧眼な資産家俳優に、私の絵ごと狙われています〜
⑨肩透かしのシルバーチャリティ
年が明けた一月下旬。
葵はリアムと二人で、ニューヨーク州ロングアイランド北岸にあるギルフォード邸を訪れていた。
恋人の存在を知ったリアムの両親にチャリティパーティーに招待されたからである。
アメリカの地を踏んだのはこれが二度目。
彼の誕生日が三月と期限が迫るなか、結婚を承諾してから二か月が経ったこのタイミングでようやく渡米することになったのは、リアムが何故か「まだタイミングじゃない」と渋っていたからだ。
リアムの祖父が出した条件は、二十八歳までに合法的な婚姻関係を結ぶ書面を用意して弁護士に提出すること。
出来なければ、これまで受けていた定額受給はストップし、二十八で一括受取りする予定だった信託金の残額が全て没収される。
のんびり構えていて大丈夫なのかと心配したが、リアムは日本で葵と暮らす場所を手配したり、先にしなくていい事ばかり進めて何かを待っているようだった。
その結果、チャリティパーティーの招待状が届いたというわけだ。
「このパーティーで祖父が確かめたいのは僕が君を金で買ってないかだ。アビーはいつも通りにしていればいい」
ギルフォード邸に着き、車から降りる時にリアムからそう言われたが、しかし葵の心は小さく跳ねた。
金で買われたわけではないが、リアムと葵は彼の祖父が望む関係ではない。
――でも、しっかりしなきゃ。
広大な敷地を抜け、さらにまた広い庭園を通り過ぎたあと辿り着いたギルフォード邸は、歴史を感じさせる大豪邸だった。
葵は、ドレスコードに従い、リアムが用意してくれた刺繍を誂えたシルバーのワンピースドレスを着用している。
耳元にはリアムの瞳の色のピアスが揺れ、そしてシースルーのショールを羽織り、ダークシルバーのスリーピーススーツを纏うリアムの隣を歩いた。
その度に数多の視線を集める。
慣れない場に身体の熱を覚えたものの、守るように誘導してくれるリアムは葵を見て「大丈夫だ」と囁く。
緊張すると顔が赤くなりやすい葵にとって、リアムのこのたった一言が不思議と心を平らにしてくれる。
自信に溢れるリアムから勇気を分けてもらったような気がしたのだ。
とはいえ実際の自分がどんな顔をしているかは分からないが。
けれど今ここに居るのはリアムのため。
リアムの両親の前まで連れてこられた葵は、深呼吸したあと胸を張って背筋を伸ばした。
葵はリアムと二人で、ニューヨーク州ロングアイランド北岸にあるギルフォード邸を訪れていた。
恋人の存在を知ったリアムの両親にチャリティパーティーに招待されたからである。
アメリカの地を踏んだのはこれが二度目。
彼の誕生日が三月と期限が迫るなか、結婚を承諾してから二か月が経ったこのタイミングでようやく渡米することになったのは、リアムが何故か「まだタイミングじゃない」と渋っていたからだ。
リアムの祖父が出した条件は、二十八歳までに合法的な婚姻関係を結ぶ書面を用意して弁護士に提出すること。
出来なければ、これまで受けていた定額受給はストップし、二十八で一括受取りする予定だった信託金の残額が全て没収される。
のんびり構えていて大丈夫なのかと心配したが、リアムは日本で葵と暮らす場所を手配したり、先にしなくていい事ばかり進めて何かを待っているようだった。
その結果、チャリティパーティーの招待状が届いたというわけだ。
「このパーティーで祖父が確かめたいのは僕が君を金で買ってないかだ。アビーはいつも通りにしていればいい」
ギルフォード邸に着き、車から降りる時にリアムからそう言われたが、しかし葵の心は小さく跳ねた。
金で買われたわけではないが、リアムと葵は彼の祖父が望む関係ではない。
――でも、しっかりしなきゃ。
広大な敷地を抜け、さらにまた広い庭園を通り過ぎたあと辿り着いたギルフォード邸は、歴史を感じさせる大豪邸だった。
葵は、ドレスコードに従い、リアムが用意してくれた刺繍を誂えたシルバーのワンピースドレスを着用している。
耳元にはリアムの瞳の色のピアスが揺れ、そしてシースルーのショールを羽織り、ダークシルバーのスリーピーススーツを纏うリアムの隣を歩いた。
その度に数多の視線を集める。
慣れない場に身体の熱を覚えたものの、守るように誘導してくれるリアムは葵を見て「大丈夫だ」と囁く。
緊張すると顔が赤くなりやすい葵にとって、リアムのこのたった一言が不思議と心を平らにしてくれる。
自信に溢れるリアムから勇気を分けてもらったような気がしたのだ。
とはいえ実際の自分がどんな顔をしているかは分からないが。
けれど今ここに居るのはリアムのため。
リアムの両親の前まで連れてこられた葵は、深呼吸したあと胸を張って背筋を伸ばした。