こっちを、むいて。
「あっ…えっ、嘘」
背後から声が聞こえた。
やべ、気づかれたか。
でもオレはさよならを決め込んで、っと。
「あっ、あの!」
背に声をかけられる。
無視…しようとしたけど、さすがにオレの良心が揺らいで可哀想なぼっち少女に視線を向けた。
「あ、あの…えと、その…おっ、お昼ここで食べっ、食べるんですか?」
「そのつもりで来たけど」
「なら、どどっ、どうぞわたしのことはおかまいなく、お召し上がりください」
少女は立ち上がり、ローファーをコツコツ鳴らしながらすみっこに移動した。
…はぁ。
…ふ。
…ふふ。
「はは。っあははは!はははははっ!」
「えっ?!な、なな、なんですか?!」
すみっこぐらしの少女がまん丸の瞳でこっちを見てくるのがなんとなく分かる。
実際は腹抱えて笑ってて目なんて開けてられないからみえないんだけど。
はぁ。
久しぶりにこんな笑ったわ。
…あん時くらい、笑えた。
オレはひとしきり笑って落ち着いてきたところですみっこにいる少女の元へと歩いて行った。
少女はというと呆けている。
口をあんぐりと開け、近づいてきたオレにさらに目を丸くして満月みたいだ。
オレはそんな少女に言った。
「もう諦めてんの?」
「えっ?」
隣に座る。
あぐらをかいてひとつ欠伸をしてから口を開く。
「見たとこ、君さぁ新入生じゃん。もうぼっち決め込んだのかって思って」
「そ、そんなことは…」
「ならさ、こんなとこいないでクラス戻ったら?最初失敗すると後々後悔するよ?ま、オレみたいに望んで孤独を選んでるなら別にかまわないけど」
オレの言葉に少女は少し戸惑いながらも言葉を紡ぐ。
「先輩は…ぼっちなんですか?こんなにも眩しいのに…」
「眩しい?」
「はい。わたしには強烈な太陽光線です。近くにいたら焦がされそうなくらいに」
強烈な太陽光線…。
そんなこと産まれて初めて言われた。
何をどう感じてそう表現したのか分からないが、
ただひとつ確かに分かったことがある。
オレはあぐらを崩してポーンと膝を伸ばした。
「君、名前は?」
オレがそう聞くと少女は少しだけこっちに身体を向けた。
視線を上げてオレを見る。
まだ何色にも染まってない、純粋な瞳だと思った。
そんな綺麗な…透明な瞳にこっちこそ吸い込まれそうだなんて思いながらも真っ直ぐオレも彼女を見た。
「白鐘咲優(しらかねさゆ)です。あっ、1年5組です」
「そ。じゃ、オレも自己紹介するわ。オレは…」
名前を言おうとしたら彼女の口が先に動いた。
「弥代悠雅、さん」
「えっ?なんでオレの名前知ってるの?」
彼女は笑ってるようで笑っていない、どこか悲しそうな、でも嬉しそうな、そんな混沌とした顔をしたままこう呟いた。
「先輩、有名人なので」
その時その意味はよく分からなかったが後になって判明した。
あのクリスマスライブの映像がYouTubeに上げられてて、しかもオレは堂々と名乗っていた。
その映像を見た彼女がオレの存在を覚えてしまっていた、と。
二度とあんな演奏はしたくないと思った、
オレの人生の黒歴史ともいえる忌々しい出来事を
他人の記憶媒体に刻まれてしまっていたのだった。
背後から声が聞こえた。
やべ、気づかれたか。
でもオレはさよならを決め込んで、っと。
「あっ、あの!」
背に声をかけられる。
無視…しようとしたけど、さすがにオレの良心が揺らいで可哀想なぼっち少女に視線を向けた。
「あ、あの…えと、その…おっ、お昼ここで食べっ、食べるんですか?」
「そのつもりで来たけど」
「なら、どどっ、どうぞわたしのことはおかまいなく、お召し上がりください」
少女は立ち上がり、ローファーをコツコツ鳴らしながらすみっこに移動した。
…はぁ。
…ふ。
…ふふ。
「はは。っあははは!はははははっ!」
「えっ?!な、なな、なんですか?!」
すみっこぐらしの少女がまん丸の瞳でこっちを見てくるのがなんとなく分かる。
実際は腹抱えて笑ってて目なんて開けてられないからみえないんだけど。
はぁ。
久しぶりにこんな笑ったわ。
…あん時くらい、笑えた。
オレはひとしきり笑って落ち着いてきたところですみっこにいる少女の元へと歩いて行った。
少女はというと呆けている。
口をあんぐりと開け、近づいてきたオレにさらに目を丸くして満月みたいだ。
オレはそんな少女に言った。
「もう諦めてんの?」
「えっ?」
隣に座る。
あぐらをかいてひとつ欠伸をしてから口を開く。
「見たとこ、君さぁ新入生じゃん。もうぼっち決め込んだのかって思って」
「そ、そんなことは…」
「ならさ、こんなとこいないでクラス戻ったら?最初失敗すると後々後悔するよ?ま、オレみたいに望んで孤独を選んでるなら別にかまわないけど」
オレの言葉に少女は少し戸惑いながらも言葉を紡ぐ。
「先輩は…ぼっちなんですか?こんなにも眩しいのに…」
「眩しい?」
「はい。わたしには強烈な太陽光線です。近くにいたら焦がされそうなくらいに」
強烈な太陽光線…。
そんなこと産まれて初めて言われた。
何をどう感じてそう表現したのか分からないが、
ただひとつ確かに分かったことがある。
オレはあぐらを崩してポーンと膝を伸ばした。
「君、名前は?」
オレがそう聞くと少女は少しだけこっちに身体を向けた。
視線を上げてオレを見る。
まだ何色にも染まってない、純粋な瞳だと思った。
そんな綺麗な…透明な瞳にこっちこそ吸い込まれそうだなんて思いながらも真っ直ぐオレも彼女を見た。
「白鐘咲優(しらかねさゆ)です。あっ、1年5組です」
「そ。じゃ、オレも自己紹介するわ。オレは…」
名前を言おうとしたら彼女の口が先に動いた。
「弥代悠雅、さん」
「えっ?なんでオレの名前知ってるの?」
彼女は笑ってるようで笑っていない、どこか悲しそうな、でも嬉しそうな、そんな混沌とした顔をしたままこう呟いた。
「先輩、有名人なので」
その時その意味はよく分からなかったが後になって判明した。
あのクリスマスライブの映像がYouTubeに上げられてて、しかもオレは堂々と名乗っていた。
その映像を見た彼女がオレの存在を覚えてしまっていた、と。
二度とあんな演奏はしたくないと思った、
オレの人生の黒歴史ともいえる忌々しい出来事を
他人の記憶媒体に刻まれてしまっていたのだった。