恋のエンドロールでキスをして【小説版】
「花? どした?」

ハッとすると、怜がDVDのケースを手に持ってこちらを覗き込んでいた。

「なんか胸がいっぱいで。私……小さい頃ぜんそくであんま学校行けなくて、病院にいることが多かったんだけど、この映画にたくさん励まされたし、何より救われたから」

「……」

「映画って冒険だよね! 心も体も別世界に連れてってくれるんだもん」

「花って、ほんと映画好きなんだな」

「まあね。こう見えて映画オタクだもん」

「随分偉そうな映画オタクだけどな」

「な、なにそれ」

「ほら、行くぞ」

怜が立ち上がるのを見て、私も席を立つ。
そして二人で受付にDVDを返すと時刻は十八時だ。

「花はもう帰る?」

「えっと……」 

隣町まで来たことだし、次回来た時のために、めぼしい映画がないか確認してから帰っても遅くない。
共働きの両親が帰ってくるのは、いつも二十時前だ。連絡さえしておけば問題ない。

「……せっかく来たし、『ハナと夢の国』監督の須藤敬(すどうけい)作品がないか見てから帰ろうかな」

「えっ、ガチ? 俺も須藤監督の映画が好きでさ」

「嘘っ! 嬉しい。結構、須藤監督の作品って好み分かれたりするから」

「わかる。俺のまわりの映画好きもそんな感じ」

私たちはどちらかということもなく、再び二階に上がると棚に陳列されている須藤作品を見ながら、互いに作品の好きな場面や感想を言い合った。

怜も映画がとても好きらしく、また偶然にも彼の話すどの映画も私が好きな映画と合致していて、彼との会話に夢中になった。
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