恋のエンドロールでキスをして【小説版】
なんとなく勝手に同じ年か、言動から年下だと思っていたため、面食らってしまった。

「い、今更、敬語とか……ちょっと無理、かも」

「ぷはっ、嘘。てか真面目かよ」

屈託のない笑顔に、心臓がまた勝手にとくんと跳ねる。

「花、つけんぞ」

「か、勝手に呼び捨てないでよ」

「俺のことも怜でいいから」

「あのね……っ」 

「はい。静かに」

再生ボタンが押されれば、すぐに懐かしい映画のタイトルともに主人公のハナの姿が映し出される。
感嘆の声が漏れたのも、束の間、一時間二十分という時間があっという間に溶けてしまった。


エンドロールを二人で黙ったまま見終えると、暗くなった画面を見ながら私は、再び感動のため息を漏らした。


「はぁー……最高。この世界観、やっぱ大好き」

「そんなに?」

「うんっ、主人公のハナが魔法の飴を食べたことから、周りの人のいろんな感情や自分の知らなかった世界を知って……辛いことや悲しいことがあっても乗り越えていく強さと成長が見られるのもこの映画の魅力だよね」 

「確かに、世界観もそうだけど現実世界に通じるものがあって、すごく没入感が得られる映画だよな」

怜がDVDを片付けるのを見ながら、私はヘッドフォンを元に戻す。 

久しぶりにずっと見たかった映画をようやく見れた満足感と、小さかったあの頃と違って人並みの健康的な生活を送れているささやかな今に感謝でいっぱいだ。

この映画を繰り返し見ていた時は、いつも病院のベッドの上だったから。
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