恋のエンドロールでキスをして【小説版】
「俺、好きなんだよね。線香花火」

「そうなんだ」
 
怜は見た目に寄らず、映画も派手なアクション映画よりは切ない純愛映画が好きだから、花火もそうなのかも、なんて思った。

「理由聞いてもいい?」

「うん。なんか綺麗だけど、儚くてさ。ずっと記憶に残る気がして」

私は黙って頷きながら、またひとつ知らなかった彼のことが知れて嬉しくなる。

怜は私の持つ線香花火に火をつけると、自分のそれにもつけ、じっと見つめた。

小さな丸いオレンジの光の周りを星屑のように光が跳ねて揺れて、パチパチと爆ぜる音と海から聞こえる波の音が静かに重なる。

この時、怜はただ黙って花火を見つめていた。

その少し憂いを秘めていて、それでいて何か強い想いを秘めた眼差しに、私は密かに見惚れていたの。

貴方がこの時、どんなことを想って葛藤していたかなんて知らずに。

ただ浮かれていた。
怜と初めての花火だったから。

これからもずっとこうやって二人で沢山思い出を作っていけるのだと、思い違いをしてたの。

二つの線香花火は小さな無数の点滅を繰り返すようにしながら、やがてほのかな光を保ったまま、同時に砂浜に落ちて消えた。


「あー落ちちゃった……同時だったね」

「花……話がある」

「え? 怜?」

真剣な声と見上げた彼の憂いを秘めた表情に途端に心が騒がしくなる。

「……俺たち、別れよう」
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