恋のエンドロールでキスをして【小説版】
さっきまで浮かれて鮮やかに色づいていた心から、色がすっとなくなるのがわかった。

「……なんで……? 私、なんか、した?」

「違う。俺の問題」

「どういうこと……受験の、邪魔だから?」

「そんなんじゃない。とにかく別れて欲しい」

頭が混乱して、気持ちがついていかない。

さっきまであんなに楽しかった花火なのに、今は目の奥が熱くて今にも涙がこぼれ落ちそうだ。

「理由もわからないのに……別れるなんて嫌だよ……っ」

「……ごめんな」

苦しげに吐き出された彼の言葉に、これが夢でも映画でもなく現実なのだと思い知らされる。

そしてそれ以上、彼に何も聞けなくなる。

だって──彼の方が今にも泣き出しそうなくらい悲しい顔をしてたから。


「花と過ごした時間は一生忘れない」

堪えていた涙は勝手に重力にそって落ちていき、砂浜の上で小さな水玉模様になっていく。

怜の大きな手が私の頬に触れて、私は彼のTシャツをぎゅっと握りしめた。 


「──花が好きだった」

彼の少し高めの声に目を閉じれば、優しいキスが落とされる。


このまま時間が止まってしまえばいい。

そう願わずにはいられないほどに、溺れた初めての恋はまだ眩い光を放ったまま、線香花火のように静かに儚く消えていった。
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