恋のエンドロールでキスをして【小説版】
思わず足を止めて、道の反対側に見えた映画サークル『REI』の看板と“脚本家求む”の文字を食い入るように眺める。サークルの担当者は休憩中なのか誰もおらず、看板だけが脚立に立てかけてあるだけなので、じっくり見れて丁度いい。

(REI……怜と同じ名前のサークル)

(それに脚本家も募集してるんだ……)

偶然とはいえ、なんだかそのサークルに強く惹かれて、心が見えない期待でソワソワしてくる。

「……悩むけど……」

サークルの人が戻ってくるのを待って話を聞けば、のめり込んで聞いてしまう自信が大いにある。そうなれば課題の資料を探す時間がなくなってしまいそうだ。

(うぅ、かなり気になるけど……ダメダメ)

私は自制心を働かせると、後日サークルを訪ねることにし、後ろ髪引かれながらも前を向いた。

──ドンッ!

よく前を見ていなかったせいで、前から歩いていた女の子連れの男と思い切りぶつかる。

「痛って」

「ごめんなさい……っ」

ぶつけた低い鼻を摩りながら、見上げた男の顔を見て、私は口を開けたまま目を見開いた。
向けられていたのは、意思が強そうな、それでいて少し茶がかかったダークブラウンの瞳。

「──え?」

見間違えるはずがない。

(嘘……)

男は黒いヴィンテージデニムにオフホワイトのパーカーというシンプルなコーデで首には細めのチェーンネックレスをつけている。
元々高かった背が更に伸びて、ピアスも開けているため、雰囲気こそ変わっているが、目の前の男は怜に違いなかった。

「……怜?」

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