恋のエンドロールでキスをして【小説版】

第一幕 映画みたいな恋だった

「いい天気~」

学校が終わると共に私は、ある場所を目指して自転車をこいでいる。

ところどころまだ桜の花が残る街路樹に目を細めながら、心地よい春風に吹かれてペダルをこぐ足は軽い。

私の名前は有瀬花(ありせはな)。身長が低く童顔なことが少々悩みの野井(のい)中学校の二年生で、趣味は映画観賞。ついでに言っておくと自称映画オタクだ。

小さなころは病弱で学校を休みがちだった私にとって、映画を見ている間は辛いことも苦しいことも、友達と遊べない寂しさも紛らわせることができた。

それだけじゃない。

映画の中で主人公たちと一緒に泣いたり笑ったり、いろんな感情を体験しながら、現実ではない世界へ沢山冒険をすることができた。
そんな映画は私の一部分と言っても過言ではないほどにとても大事なものだ。

「よし、到着!」

三十分ほどかけて隣町にある図書館の駐輪場にたどり着くと自転車を停める。

花柄のキーホルダーがついた鍵を鞄の内ポケットに放り込みながら、見上げた図書館は二階建てで外壁の塗装は真新しい。
たしかこの図書館は昨年の秋に改装したばかりだったはずだ。

(ずっと探してたあの映画……ここなら置いてあるといいなぁ)

いつもなら放課後は決まって自宅近くの図書館の視聴覚室で、映画を見て帰るのが日課となっている。

めぼしいものはほとんど見終えているし、お気に入りのものなんてどれも何十回も見て、場面もセリフも覚えてしまっている。

でも映画オタクを自称する私にとって、映画は何十回みようが見飽きることなんてなく、毎回いろんな感情と世界を体験できる唯一無二のものなのだ。

そんな私が、今日はこうして隣町の図書館まで足を運んだのには来たのには、もちろん理由がある。
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