恋のエンドロールでキスをして【小説版】
紺色のチェックのブレザーの制服を、ネクタイを緩めて着崩している男子生徒に見覚えはないが、その制服ですぐに同じ中学生だとわかった。

隣町にある難関の私立校、湖海(こみ)中学校の制服で間違いない。
よく見れば肩から下げている鞄にはアルファベットで“KOMI”と印字されている。

「あの…」

ひっこめた手を胸に当てて、そうつぶやくと、目の前のイケメンとようやく目があった。

揺れた艶やかな黒髪の間からは、意思の強そうな切れ長のダークブラウンの瞳が見えて、勝手に心臓がどきんと跳ねる。

「なに?」

「えっとその……」

「俺、これ見たいから」

ぶっきらぼうにそう言うと、男はあっという間に『ハナと夢の国』を大きな手に掴み、私に背を向けた。

「ちょ、ちょっと……待って」

「なに?」

面倒くさげに男が顔だけ振り返る。

「そのDVD……、ずっと探しててやっと見つけたの」 

「それがなにか? 早い者勝ちだろ?」

「えっ……同時だったじゃないっ」

思わず言い返した私に、男は呆れたよう手を首に当てた。

「はぁ。めんどー」 

「え?……いま、面倒って言ったの?」

「だったらなに?」

「だったらって何様なのよ」


売り言葉に買い言葉のような状況に腹を立てたのか、男が身体ごと振り返ると、私の目の前に立つ。
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