恋のエンドロールでキスをして【小説版】
珍獣でも見るような目をこちらに向けながら、面白げに唇を持ち上げている男に向かって、私はずいっと手を差し出した。
(ほんとやな感じ……!)
とことん失礼な奴だが、大事なDVDを渡してもらえばおさらばだ。二度と会うこともない。いや、仮にまた会ったとしてもこうして話すことだけはないのは確かだ。
「勝ったんだから、早くそれ渡して」
「そのまえに一個質問。なんでそんなにこの古くさい映画が見たい訳?」
「私の宝物だから」
「え?」
「その映画には、心の冒険っていう宝物が詰まってるのっ」
「心の冒険……」
なにかおかしなことでも言っただろうか?男は私の言葉を反芻すると、ふうんとなにやら満足そうな顔をしている。
「さっさと渡して」
「お前、やっぱ面白いな」
「なによそれ」
「映画好きに悪いヤツいないって言うし……」
男は私にDVDを渡そうとしてやめると、その端正な顔の横でDVDを振って見せた。
「一緒に見よ」
「えっ?!」
「はやく来いよ」
「何、言って……」
男はそのまま慣れた足取りで、壁際に並んで設置してある視聴覚コーナーを横目に、受付へと向かって行く。
「ちょっと……待ちなさいよっ」
理解が追い付かない私は数秒間、一人で呆然としてから、慌てて彼を追いかけた。
(ほんとやな感じ……!)
とことん失礼な奴だが、大事なDVDを渡してもらえばおさらばだ。二度と会うこともない。いや、仮にまた会ったとしてもこうして話すことだけはないのは確かだ。
「勝ったんだから、早くそれ渡して」
「そのまえに一個質問。なんでそんなにこの古くさい映画が見たい訳?」
「私の宝物だから」
「え?」
「その映画には、心の冒険っていう宝物が詰まってるのっ」
「心の冒険……」
なにかおかしなことでも言っただろうか?男は私の言葉を反芻すると、ふうんとなにやら満足そうな顔をしている。
「さっさと渡して」
「お前、やっぱ面白いな」
「なによそれ」
「映画好きに悪いヤツいないって言うし……」
男は私にDVDを渡そうとしてやめると、その端正な顔の横でDVDを振って見せた。
「一緒に見よ」
「えっ?!」
「はやく来いよ」
「何、言って……」
男はそのまま慣れた足取りで、壁際に並んで設置してある視聴覚コーナーを横目に、受付へと向かって行く。
「ちょっと……待ちなさいよっ」
理解が追い付かない私は数秒間、一人で呆然としてから、慌てて彼を追いかけた。