恋のエンドロールでキスをして【小説版】
※

「お、貸し切り」

「ねぇ、ちょっと……」

男は受付で手続きをすると、二階の壁際に全部で五つある視聴覚コーナーの一番左端に入った。この部屋だけ二人がけのソファーが置いてある。

(ほ、本当に二人で見るつもり?)

男は受付の間も視聴覚コーナーに入る時も、一度もこちらを見なかったが、他の視聴覚コーナーは一人がけのため、二人で見るためにこの部屋を借りたのだろう。

彼は肩から下げていた鞄を雑に床に置くと、狭い二人がけの簡易ソファーに腰かけ、慣れた手つきで電源をいれるとDVDをプレーヤーにセットする。

「ねぇ、待って。話が違うじゃないっ」

「うるせーな」

「う、うるさいって何よ」

入り口から覗くような形で突っ立ったまま口を口を尖らせている私をみながら、男がため息を吐く。

「あのさー」

そのままあっという間に、男が私の前に立つと、間仕切りの壁に手を突き、ぐっと覗き込んだ。

「な、に……」

「シーっ。図書館では静かにしましょうって習わなかった?」 

形の良い唇に、長い指を添えて息を吐くイケメンの破壊力は半端ない。

「……っ」

(ち、近……)

心臓が一気にドキドキと音を立ててうるさい。

映画では見たことあるものの、まさか壁ドンというものをそれもアイドル顔負けのイケメンにされたことに、勝手に顔が熱くなる。

「できる?」

「は……い」
< 7 / 42 >

この作品をシェア

pagetop