木の下の奏者たち― 桜の木がつないだ声 ―
「驚いた。その曲は僕の祖父も好きだったんです。祖父は、木の下で例の女の子とよく歌っていたと言っていました」
「そう、だったんですね」
やっぱり、祖母が妖精だと言っていたのは、かなたのおじいさんだったのかもしれない。
楓は、不思議な縁を感じて、とてもうれしくなった。
「うん、その曲、いいですね。僕も好きです。僕の祖父も、ここで聴いていたら喜びそうだ」
かなたもうれしそうに言った。
「じゃあ、楓さんから弾き始めてください。僕もあとから続きますから」
「わ、わかりました」
楓はケースからヴァイオリンを取り出した。
ヴァイオリンを構え、弦を鳴らして音を確かめた。
深呼吸を一つして、
「いきます」
と告げ、弓を引いた。
聞き慣れた音色が林に響く。
この曲は、満開の桜の美しさと、花びらが散っていく儚さを思わせる懐かしい曲。
ヴァイオリンが高く澄んだ旋律を奏で始めたところで、尺八の深みのある音が重なった。
初めて聴く組み合わせなのに、違和感がなかった。
(不思議……)